32歳高年収女子、中途半端な試みは失敗した 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<9>
何なのよ、何なのよ......!!!!
杏子は、腸が煮えくり返る思いで、スマホを睨めつけている。今日は、いよいよ結婚相談所で知り合った正木とのディナーを予定している土曜日だ。しかし、今朝からもう数十回もスマホを確認しているが、正木から詳細の連絡が来ない。
杏子は、昨日の金曜日から、正木からの連絡を心待ちにしていた。普通、土曜日のディナーの予定であれば、前日には詳細の連絡をするのが一般的なマナーではなかろうか。
昨日も仕事そっちのけで一日中スマホを気にかけ、しかも23時を過ぎて我慢の出来なくなった杏子は、自分から一度正木に電話を入れていた。
当日の昼過ぎなのに!
昨日も電話に出なかったし、もう当日の昼過ぎなのに...。あり得ないわ!!! 杏子は意を決して、再びスマホの通話ボタンを押す。呼出し音だけが鳴り、留守番電話サービスに切り替わる。
正木は、自分とのデートを目前に何をしているのだろうか。考えたくはないが、今日の予定を忘れてしまったのか。もう一度通話ボタンを押す。やはり応答はない。最後に、もう一度だけ・・・。
杏子は結局、合計7回の不在着信を正木に残し、スマホをソファに思い切り投げつけた。
限界が、近づいていた。