実は、ここ石巻のオフィスには立ち上げ当初から2つの構想があった。ひとつは、以前紹介した、地域におけるコワーキングスペースとして使うこと。もうひとつは、ヤフーの研修センターとしての活用だ。
最近、国内外の企業において、大規模な研修施設を設けて、そこで人材を育ててマネジメントしていくというケースが増えている。課題解決エンジンを目指すヤフーにとっても、人材の育成や研修は命題のひとつだ。
そもそも社長の宮坂学は、昔から社内でアンオフィシャルに私塾を設けるなど、人材の育成に並々ならぬ情熱を注いできた人だ。
「『ヤフー石巻復興ベース』に、たくさんの課題を抱える被災地で人を育てるという意義をもたせたい。課題解決エンジンとなるヤフーの社員全員、石巻に一度は行ったほうがいい」
当初から社長・宮坂も、副社長・川邊健太郎もそんな風に語っていた。
僕自身、多くの人にさまざまな課題を抱える被災地に足を運んでもらい、現地の状況をじかに見てもらいたいと、常々感じていた。
石巻は震災に遭った被災地としての側面と、さらに全国の地方の町と同じく高齢化、過疎化などの問題も抱えている。いわば、日本が抱える複数の課題が詰まっている場所ともいえる。東京にはない刺激を受けて、訪れた人はいろいろ考えることになる。
100人以上のヤフー社員が石巻を訪れた
ヤフー石巻復興ベースが誕生してから、ヤフーでは「石巻ハッカソン」の開催だけでなく、1泊2日の社内研修が何度も行われてきた。
たとえば、本部長クラスの人たちが全員参加する研修も、ここ石巻で行ってきた。具体的な内容はヒミツっぽいので僕の知るところではないが、数十人のエライ方々が続々と集結する様子に、「こんなに一気にエライ人が石巻に集まっちゃって、本社は大丈夫?」と思った。神無月に出雲に神様が集まってきちゃうのってこういう感じ? なんて、思ってしまった。
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