表面はわずかに凍っているが、食材の中までは凍らないこの微凍結の状態なら、食材を使うときに、いちいち解凍することなく、包丁で切り分けるなどの下ごしらえができる。それでいて通常の冷蔵室(3~6度)やチルド室(0度)で保存するよりも食材を長く保存できるというわけだ。
冷凍するわけではないので、解凍時間が不要。新鮮さを保てるので、買い物も週1回に減らすことが可能だ。さらに「微凍結パーシャル」では食材だけでなく、作り置きのお総菜なども保存可能。冷凍と異なり食材の細胞を損傷しないので、味や見た目の劣化も防げる。
マイナス40度で「冷やし忘れ」に対応
「時短」という視点で最新冷蔵庫をみたときに面白い機能を備えているのが、シャープの「メガフリーザー」シリーズ(最廉価モデル、480L「SJ-GT48C」実勢価格30万7530円)だ。これは、総容量に対して、大型の冷凍室を備えたモデル。
新たに搭載したのが、約マイナス40度の冷気を30分間吹き出す「タイマー急冷」機能だ。基本的な機能は、食材を素早く凍らせて、栄養やおいしさをしっかりと封じ込めるというものだが、便利なのが、この急速冷凍機能のもうひとつの使い方だ。
たとえば、急な来客のときなどでは、濡らしたビールジョッキと缶ビールを入れておく。すると、短時間でキンキンに冷えたビールが楽しめる。また、フルーツなどを素早く冷やすといったこともできる。
料理シーンにおいては、煮物やスープを冷やすことで脂分を固めて取り除いたり、冷製メニューのあら熱取りといったことが可能。しかも、30分でブザーが鳴るため、冷やしすぎて凍ってしまったというようなミスも発生しない。素早く冷やすからこそ、料理のさまざまな工程を「時短」できるというわけだ。
また、食材を小分けにして冷凍しておけば、使いたいときに使いたい分だけを素早く解凍することも可能。みそと出し、具材をひとり分の団子にして冷凍すれば、お湯をかけるだけでひとり分のみそ汁が簡単に作れるなど、多彩な使い方ができる。
野菜の光合成を促して鮮度をキープ
大型の冷蔵庫には、冷蔵室、冷凍室とは別に、野菜を保存するために適した湿度と温度をキープする野菜室がある。この野菜室にも多くの革新的な進化が起きている。
三菱電機の冷蔵庫「置けるスマート大容量」シリーズ(最廉価モデル、445L「MR-B46A」実勢価格23万1380円)の最新モデルでは新たに「朝どれ野菜室」機能を搭載した。これは野菜室に3色のLEDを内蔵し、日光の1日のサイクルを模した光を野菜に当てることで光合成を促すというものだ。
その結果、葉物野菜の新鮮さが保てるほか、ビタミンCなどの栄養素も増える。これなら、鮮度が重要な野菜も一度に買いだめでき、買い物の回数を減らせるのだ。
また、冷蔵室には従来モデルから引き続き、氷点下ながら凍らせない温度(マイナス3度~0度)で食材を保管する「氷点下ストッカーD」機能や、マイナス7度で急速冷凍することで、凍っているのに包丁で切れる「切れちゃう瞬冷凍」機能なども搭載。食材ごとに適した温度でおいしく保存できるのだ。
冷蔵庫は省エネ性が最初に語られることが多いが、最新モデルは単に食材を冷やして保管するだけの保存庫ではない。食材によって多彩な温度帯を使うことができ、さらにさまざまな冷やし方によって、より食材を加工しやすく保存できるように進化している。今や、冷蔵庫は「時短調理」の一翼を担っているのだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら