民進党の「年金カット法案批判」は見当違いだ 将来世代の給付底上げへ、冷静に議論すべき

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改正はマクロ経済スライドの発動を可能にする

実は今法案には、このマクロ経済スライドを部分的にではあるがデフレ下でも発動できるような改定項目も含まれている。現在のマクロ経済スライドは賃金や物価の伸びが低かったりマイナスだったりすると、フル発動できないという弱点がある。このため、これまでほとんど発動できず、現高齢世代の給付削減が進まず、将来世代の給付が当初想定より一段と低下していくという悪循環に陥っている。

このため今回のマクロ経済スライドのルール改定はそれを防止するためのものであり、民進党も民主党政権時代に「調整をやらないで先送りすれば(中略)先の世代ほど負担が重くなるわけですから(中略)物価が上がった下がったに関係なく(マクロ経済スライドの発動を)やっていけるような仕組みを議論すべき」(岡田克也副総理<当時>、2012年5月30日)とその問題の所在をきっちりと理解していた。

現在、民進党が批判する年金改定額のルール変更も、実はこれとまったく同じ目的のものだ。先述のとおり、これまでマクロ経済スライドの発動がほとんどできなかったが、この間、年金給付水準(所得代替率)は横ばいであってよいものが、実際は上昇しているのだ。それだけ、マクロ経済スライドの未発動分以上に現高齢世代の取り分が増え、将来世代の給付が減っているということだ。

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