開業2年目「北陸新幹線」、沿線駅の明と闇 駅前と市街地が競合する地域も

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長野駅前に飾られた「六文銭」の提灯

最近の地方移住ブームや国のインバウンド戦略を念頭に置けば、これらの動きをどこまで北陸新幹線開業と関連づけられるか検証が必要だが、過去の整備新幹線開業とは異なる空気を象徴していたのが、次の言葉だった。

「今の若い人たちは、『真田丸』が放映されるから何かしよう、という言葉では行動を起こしません」「県外から移り住んだ人たちが、さまざまな風を起こしている」

このほか、市内では「富山・石川ナンバーの乗用車をよく見かけるようになった」「1度、新幹線を利用した人が、乗用車を使って再訪しているのでは」という言葉を聞いた。地元の地銀のシンクタンク・長野経済研究所の調査によれば、長野地域の人々は北陸地域の情報が増えたと感じるともに、心理的距離も縮まったと実感しており、「『近くて遠い』地域から『近くて近い』地域になった」と認識し始めている。本当に乗用車での行き来が増えたのか、視界に入らなかった情報が目に留まるようになったのか……。興味深い証言といえる。

駅周辺と中心市街地の競争激化?

他方、気になる情報にも接した。長野駅前にある、市内唯一のデパート「ながの東急」は売上高、経常利益とも減少が続いている。筆者自身は、新幹線開業との因果関係は検証できていないが、市内のあちこちで、リニューアルした駅ビル・MIDORI長野との競合の影響を懸念する声を聞いた。MIDORI長野には地元店舗だけでなく首都圏の著名なブランド店も入居している。これと対抗するように、駅正面のビルに店舗を構えていた地元大手書店が11月17日、ながの東急に移転するといった動きもある。

北陸新幹線沿線の金沢市や富山市だけでなく、九州新幹線沿線の福岡市、鹿児島市でも、新幹線開業を契機に駅周辺の開発が進む一方、中心市街地の中核的な商業エリアとの競合が懸案となっている。かつては、新幹線開業に伴う都市間競争の激化によって、有力な都市が沿線他都市の購買力や人口を吸収する「ストロー現象」が開業地域の課題とされた。しかし、今日のストロー現象は、むしろひとつのまちの中で、地元の従来からの商店街と、駅ナカや駅周辺に進出した大都市圏の企業との間で起きている可能性がある。

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