キリンが「クラフトビール」に食らいつく理由

ニューヨーク発ビールは若者の心をつかむか

きっかけは8年前にさかのぼる。キリンビール企画部の堀見和哉氏は、2008年からの2年間の米国留学中にニューヨークの飲食店で「ブルックリン・ラガー」と出会い、その味やコンセプトに感銘を受けた。

その後堀見氏は、2015年4月に北米のキリンブランドのマーケティングを担うこととなる。ニューヨークに出張する機会が増え、ブルックリン・ラガーと再会する。「誰でもいいから会わせてくれ」。一度製造現場を見てみたいと思った堀見氏がブルックリン社宛てにメールを送ると、社長から直々に「会いましょう」と返信が届いた。

2016年1月、ブルックリン社に出向いた堀見氏は、それぞれCEO(最高経営責任者)、社長を務めるオッタウェイ兄弟とビールを飲み交わし意気投合。2週間後には、日本での事業展開の可能性について提案する機会を得た。以降、2週間に1度のペースで協議を重ねた。「新しい取り組みだが、キリンの取締役も前向きだった」(堀見氏)。ラブコールを送り続けたキリンは、出会ってから9カ月で提携契約にこぎ着けた。

ビール離れを食い止められるか

キリングループが展開するクラフトビール。中央が「ブルックリン・ラガー」だ(記者撮影)

キリンの素早い動きの裏には焦りがあった。国内ビール市場が縮小の一途をたどり、追い打ちをかけるように若者のビール離れが叫ばれる。起死回生の一手として選んだのがクラフトビールだった。

同社は2014年7月にクラフトビール戦略を発表。「一番搾りを買ってください」と押しつけるのではなく、「こんな場面には、こういうビールがある」と消費者に提案していくかたちを目指した。若者を再びビールの世界に呼び戻すべく、動き始めた。

戦略発表の2カ月後、「よなよなエール」などを手掛ける国内クラフトビール最大手のヤッホーブルーイングと資本業務提携を結んだ。2015年春には小規模なビール醸造所と飲食店を併設した「スプリングバレーブルワリー」を東京と横浜にオープン。東京・代官山店では、いまだに休日は直前の予約が難しいほどのにぎわいだ。

コンビニ限定で展開してきた小瓶タイプの自社製品「グランドキリン」は、クラフトビールの入門編に位置づける。2016年9月からは販路をスーパーやネットにも拡大した。

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