安易な「中国パッシング論」は危険
こうした「新しい中国経済」を牽引しているのが、騰訊(テンセント・700.HK)、恒安国際(ハンアン・1044.HK)、唯品会(ビップショップ・米国上場:VIPS)、である。
騰訊は、QQ(メッセンジャーソフト)、微信(中国語版LINE)といったネット関連サービスを提供し急成長している。また、恒安国際は急拡大している紙おむつ、生理用品を製造販売しており、P&G、ユニ・チャームよりも価格が安く、地方の販売網に強い。
さらに唯品会はオンラインでディスカウント・ブランド・ショップを運営しており、偽物だらけの中国で100%本物を保証して消費者の支持を得ている。中国で消費が拡大しない理由として、買いたいものがない、偽物が多い、サービスが悪いという意見が多い。唯品会はこれらの苦情を克服することで消費者の信頼を得ている。
日本経済の復活とともに、中国パッシング論が台頭しているが、この動きは少し危険ではないかと思う。現実の中国を分析せず、親日的なアセアン諸国にシフトすべきだ、中国は必要ないというのは簡単だが、企業戦略、投資戦略としては稚拙ではないだろうか。
中国は日系企業の生産拠点としての地位は低下していくであろうが、消費大国として台頭してくる。この何とも付き合いにくい隣人の状況をしっかりとらえて分析することが、今後の日本企業にとっても引き続き重要ではないかと考える。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら