統計は過少、実際の個人消費はGDP比40~45%か
彼らは中国の証券会社でありながら、中国政府の発表する経済統計に加え、自社独自の調査ネットワークで、丹念に経済活動を分析しており、政府の統計と彼らの計測する数値で、最もギャップがあるのが個人消費であり、実際の個人消費は政府の公式統計ではGDPの約35%となっているが、実際には40%から45%程度ではないかと推計している。つまり公式統計は実際よりも過少に見積もっているということだ。
どんな分野で公式統計と実態の乖離が進んでいるのであろうか。たとえば最近、急速に拡大しているタオバオなどのネット取引である。中国の電子商取引は2006年には1兆5000億人民元(約24.6兆円)であったが、2012年には7兆人民元(約114.8兆円)と急拡大している。
この動きに対応できていないのが税務署で、中国では発票と呼ばれる領収書を小売業者が税務署から購入することで売り上げを捕捉しているわけであるが、電子商取引では特にB-C取引では顧客が発票を求めない場合が多いため、実際にGDPの計算に計上されていないのではないかと推測されている。税金を支払っているケースでも、国家統計局の計算上十分に把握されていないのではないかとの指摘もある。
中国の上場企業の業績が低迷し、主要経済指標も景気減速を示しているのに、中国経済が大崩れになっていないのは、こうした目に見えない個人消費がショックアブソーバーになっているのではないかと考えられる。
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