原油1バレル=150ドル時代は2度と来ない シェール革命がもたらす、「ピークオイル論」の終焉

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イランの核開発問題には注意が必要

ただし、目先の1~2年くらいの間は、イランの核開発問題の情勢いかんによっては、原油価格が120ドル~130ドル程度まで高騰するリスクも意識しておかなければなりません。イスラエルがイランに軍事攻撃を仕掛ければ、イランおよび周辺国の原油供給が急激に減少する懸念があるからです。いまのところ、アメリカがイスラエルに自制を促していますが、イランが核開発をやめない限り、遅かれ早かれイスラエルの攻撃を止めることはできないでしょう。

ほんの10年前には、地下2000~3000メートルの地層にあるシェールガスやシェールオイルを採掘・回収するのは、技術的に極めて困難とされていました。同じく10年前には、海面下3000メートルの海底の、さらに3000~4000メートル下の地層にある原油を発見・採掘するのも、絶対に不可能といわれていました。

ところがいまや、絶え間ない技術革新によって、どちらもいとも簡単に行われるようになっています。こうした歴史を振り返ると、現時点では開発が困難であるといわれている事例についても、10年後あるいは20年後には新たな技術革新によって解決されている可能性が大きいのです。ですから、再びピークオイル論が台頭し、原油が高騰するような事態は、二度と起こらないと考えられます。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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