人気化!日本アニメ「復活」の日が迫っている 世界が求め始めた"ガラパゴスアニメ"

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ソニー・平井社長はカンヌでの講演を引き受けた理由として「日本のコンテンツ、カルチャーの輸出が活性化すれば、日本そのもののヴィジビリティ(可視性)が上がり、日本企業であるソニーにとっても大きなプラスになる。われわれは“感動”を届けることをもっとも大きな企業ミッションとして掲げているので、日本カルチャーを発信することには積極的に協力していきたい」と、映像コンテンツ・ポップカルチャーの輸出活性化が、日本ブランド全体を押し上げることへの期待を語った。

“子ども向けの高品質な映像作品”として、世界中で放映されてきた日本アニメだが、主な収益源である国内市場は、人口構成比の変化やゲームをはじめとする娯楽の多様化などがあり、ファンの年齢層が広がったことで大人から子どもまで幅広いオーディエンス(観客)を抱える特殊な市場となった。

市場の形が変化すれば、生み出される作品も変わる。庵野氏の“いい意味でのガラパゴス”から生まれる、大人も楽しめるアニメ作品は、確かに日本でしか生まれない独自のカルチャーなのだろう。番組編成の中に組み込むべく海外バイヤーがこぞって買う作品でなくとも、その独自性に惹かれてネット配信サービスを通じた視聴が定着する可能性はありそうだ。

いや、実際に数字として右肩上がりの実績が生まれてきているのであれば、誤った方向に進んでいるわけではないのだろう。放送だけの時代から、放送+ネットストリーミングの時代へ。ビジネス環境は確実に変化している。

鬼門ジャンルは「ドラマ」だったが・・・

ただし、そんな日本のコンテンツ事業において、鬼門とも言えるジャンルがある。それがドラマだ。日本のドラマは、かつてのトレンディドラマを中心にアジアで人気を博したが、その後、韓国、そして最近は中国にも押されている。

“アジア人しか出演しないドラマ作品は海外でのビジネスにつながらない”というのが定説だったが、政府支援で輸出を奨励してきた韓国ドラマは中東や南米で定着し、現在は稼ぐコンテンツに成長したという。

しかし、実は、ドラマに関しても事業環境はこの数年で大きく変化している。日本発のドラマ作品にはどのような可能性があるのか。次回記事の「クールジャパン」、いったい何が目標なのかでは、ハリウッドとの提携から生まれた「コールドケース」などの事例も交えながら、その動向を分析していきたい。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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