人気化!日本アニメ「復活」の日が迫っている 世界が求め始めた"ガラパゴスアニメ"

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しかし、映像ビジネス環境の変化とともに、再び日本アニメの輸出が増加しているという。まだ規模は小さいものの、状況の変化はさまざまな方面から聞こえてきた。

アニメの輸出というと「またクールジャパンの話か」と食傷気味に感じる読者もいるだろう。日本のアニメは1990年代がピークで、今世紀に入ってからは下降線をたどっていた。背景には子ども向けアニメ制作の減少がある。海外バイヤーはアニメを子ども向けの作品として買い付けており、大人向けが多い近年の日本アニメは売れなくなっていたのだ。

ところが、三菱総研の伊藤洋介氏は「2012年に59億円だったアニメの海外セールスは、2014年には117億円にまで急増した」と話す。特に大幅に増加しているのが北米とアジア向けの輸出である。アジアは中国市場の伸長が大きい。

関連グッズなど「派生ビジネス」も展開

その背景にはアニメ作品の放映権販売だけでなく、関連グッズなど「アニメを起点としたさまざまな派生ビジネス」を海外展開する際にも、しっかりと売り込んでいく手法が定着してきていることがあるが、一方で映像ビジネスの環境変化も大きいようだ。

日本人として初めて基調講演に登壇したソニー平井一夫CEO

ソニーの平井社長は「映像の楽しみ方は、週末にカップルで映画館に行ったり、家族でテレビを見たりといった時代から、DVDを楽しむ時代を経由して、今はネットストリーミングの時代になった」と話す。

「今はテレビ受像機でテレビ番組を見るだけでなく、自分で選んだコンテンツをストリーミングで、しかもマルチデバイスで楽しむのが当たり前。ビジネスモデルが落ち着くのはまだ先だろうが、コンシューマーとコンテンツの接し方という意味では、ストリーミング配信は究極に近い」(平井社長)

その結果、映像コンテンツの制作環境・事業環境が変わってきている。番組編成枠にとらわれず、視聴者にコンテンツを届けることが可能になってきたためだ。

MIPCOMには、新世代のアニメクリエーター発掘を狙って開催された「日本アニメ(ーター)見本市」からシン・ゴジラ、新世紀エヴァンゲリオンなどで知られる庵野秀明監督、カドカワの川上量生社長も参加していた。NHK BSプレミアムで来年2月に放映予定の長編アニメ「龍の歯医者」を海外向けにプロモーションするためだ。

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