中国人学生が偏差値牽引!ある高校の「選択」 都内・有名進学校でも中国人高校生が増加

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実は、取材を進めていく過程で気がついたことだが、同校に限らず、日本の有名進学校にはかなりの中国人学生がいるという。学生の国籍別データはないものの、進学校として名高い筑波大学附属駒場高校や開成高校、灘高校などにも、中国出身(両親の仕事の都合で子どもの頃に来日)の学生などが増えているという話をあちこちで聞いた。

子どもが都内の有名難関校に通っている私の知人はこういう。

「うちの子どもの学校では、中間試験や期末試験が終わるたびに、廊下に優秀な生徒の成績が貼り出されるんですが、つねに優秀者の上位に名前があるのは日本人ではないようなんです。中国人や韓国人っぽい名前だとか。ここ数年、とくに顕著らしく、父兄の間でも評判になっていますよ」

私は驚くとともに、十分あり得る話だなと思った。中国人学生は、本人が留学生のビザを取得してきている場合もあれば、両親が10~20年前に留学や駐在員として来日し、そのまま日本で育ったというケースもある。中国人は子どもの教育にとりわけ熱心だ。国籍がどこであれ、日本で育てば日本語はネーティブになり、日本人と何の違いもない。日本の有名進学校に進学し、そこで頭角を現す子どもがいても、何の不思議もないだろう。

また、中国人高校生の日本への留学も増える傾向にある。文部科学省の最新データ(2013年度)によると、中国から日本へ3カ月以上留学する高校生の数は1年間に536人だった。調査を開始した1992年には43人だったが、2006年には371人、2008年には504人で、東日本大震災の年を除いて、ずっと伸び続けている。3カ月未満の短期留学も増えており、全国の高校で、短期・長期の中国人高校生の受け入れが積極的に行われているのである。そういえば、私が数年前に取材した北京の有名高校、中国人民大学附属高校でも、毎年、東京の武蔵高校に短期留学生を送り込んでいる、と話していた。

留学の低年齢化

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さらに、「留学生のさらなる低年齢化」という新しいトレンドも押し寄せてきている。

法務省によると、これまで「留学」ビザの在留資格が与えられるのは高校生までだったが、2014年に法律が改正され、小中学生にも認められるようになった。親類など保護責任者が日本にいるなど一定の条件を満たせば、小中学生にも「留学」ビザが下りるようになったのだ。

私の知り合いに「留学」ビザで小中学生の子どもを来日させている中国人はいないが、子どもの日本での教育を視野に入れて、日本にわざわざ法人を作り、子どもを都内の区立小学校に通わせている友人はいる。彼女は日本留学を経て、日本で働いた経験があったが、結婚後帰国し、現地で日本関係のビジネスを開始。以前は中国を足場に日本に出張する生活を送っていたが、子どもの教育を考え、昨年、都心の一等地に新居を構えた。

彼女は「中国の画一的な詰め込み教育よりも、日本で伸び伸びと過ごさせてあげたいと思ったのです。日本に来れば日本語もできるようになるし、中国の子どもたちとは違う経験をさせてあげられる。日本は空気もおいしいし、生活環境すべてにおいて質が高いので、ここで生活するのが子どもにとって幸せだろう、と考えました。日本語も英語も勉強させて、将来は日本でも、欧米の大学でも、どこでも好きなところに行かせてあげたい」と話していた。

暁星国際高校のように、中国人高校生の留学が増えている、というだけでも私には驚きだったが、今後さらに低年齢化は進んでいくのではないだろうか。

中島 恵 ジャーナリスト

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なかじま けい / Kei Nakajima

山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経て、フリ―に。著書に『なぜ中国人は財布を持たないのか』『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(すべて日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『「爆買い後」、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)などがある。

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