日本株は日銀新政策で「30%上昇」もありえる

円高株安予想の「悲観論者」敗北は目前だ

それまでの量中心の緩和から、金利のコントロールへとシフトしたことにより、「量の緩和政策が失敗した証拠」、「窮余の挙句の奇策」、「禁じ手」、という解釈が一般化している。

しかし日銀によるQE(量的金融緩和)以降の一連の金融緩和政策は、まったく失敗していない。デフレが終わり株価は2倍となり、企業収益も大きく向上している、が十分でない。「2%インフレ」はまだ途上である。これを確かにするための「ダメ押し政策」が今回の一連の政策である。

「長期金利コントロール」は市場に絶大なインパクト

この中での日銀の新機軸は、長期金利のコントロールである。FRB(米連邦準備理事会)のQEでも、そこまでは踏み込んでいなかった。先進国において金融自由化、市場金融化が確立した1980年代以降では、初めての中央銀行による市場金利の直接コントロールに日銀が乗り出したのである。確かに極端な、QE以上に伝統・常識からかけ離れた政策ではある。

しかしそれだけに、市場インパクトも絶大となる可能性は大きい。日本株式を一気に3~4割以上押し上げる威力を持っているかもしれない。となれば、当然リスクオンの円安となる。イールドカーブ・金利コントロール政策 → 株高 → 円安という好循環が起きる可能性がある。

そもそも金融政策がインフレやデフレを引き起す際に、必ず先立って資産価格が変化している。1990年からの日本の変化は、まず1989年末に金融引き締めが起き、直ちに株式が急落、そして2年後の1992年に不動産価格の急落がおき、CPI(消費者物価)がデフレに陥ったのは、それから9年も後の1998年であった。

米国でも2008年のリーマンショック以降、前例なき大胆な量的金融緩和政策(中央銀行がバランスシートを4倍に膨らませ、国債や住宅ローン債券を購入した政策)を実施、その直接的効果は資産価格に直ちに現れた。米国株式、不動産住宅価格が顕著に回復し、家計の資産内容が著しく改善した。

家計純資産はリーマンショック直前の2007年68兆ドルをピークに2009年には55兆ドルへと急減した。だが、資産価格の急回復により2016年1Q末には88兆ドルへと増加し、家計消費増加の推進力となった。資産価格上昇 → 家計消費(特にサービス)増加 → 雇用・生産回復 → インフレという好循環が定着し、今や完全雇用と2%インフレ目標というFRBの政策使命(mandate)がほぼ達成されつつあることは明らかである。

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