国が排出枠を決めると経済が窒息死する−−勝俣恒久 電気事業連合会会長

国が排出枠を決めると経済が窒息死する−−勝俣恒久 電気事業連合会会長

温暖化対策について、電力業界で進めているセクター別アプローチ(産業ごとの効率化でCO2削減に取り組む方式)の状況は。

中国等々で理解してもらっており、いろいろな国で理解を深めていくことが重要になる。これはAPP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ)の中でやっており、東京電力でもインドや中国などで火力の熱効率改善に取り組んできた。成果や評価も高く、できるかぎり広くやっていく。

キャップ・アンド・トレードについて、環境省の有識者会議では温室効果ガスの国内排出量取引制度の具体案が示されたが、どう考えているのか。

これからも幅広い検討がなされるのは決して悪いことではない。ただ、それに賛成するか否かは別の問題。電気事業連合会というよりも、私の思いとしては、キャップ(総排出枠を決めること)はとにかくやめようじゃないか、と。こうしたことを国が長期にわたってやると、経済が窒息死するというのが私の考え方。

2050年の長期削減目標を決める話も出ている。現段階で日本が目標を出すことについてどう思うか。

50年の目標を出して、その中間年の20年や30年をどうするのかなど、難しい問題もある。厳密ではないにせよ、コミットメントするならばある程度の根拠がいるだろう。競争のように(各国が)数値を言い合うことがいいことだとは思わない。

原油高が続いている。燃料価格の動向に合わせて電気料金を調整する燃油費調整制度(燃調)への影響は。

頭の痛い問題だ。4~6月の燃料価格は、10~12月の電力料金に反映されるが、(東京電力で)4月の状況などを見ると、(基準燃料価格に対し料金調整の上限と規定されている)5割を超えると思う。今後さらに価格が上昇するようならば負担額がたいへん大きくなる。慎重に見極めながら、状況によって何らかの対応を図らなければいけない。そもそも燃調で5割の枠を作ったのは、昔は燃料価格の上下が多かったため、その対策だった。ところが今の原油価格は構造的に上がっており、性格が全然違っている。枠を設けることの是非はあると思うが、どうしていくかは今後の検討課題だ。

東電の柏崎刈羽原発では、耐震設計基準となる新たな地震動を設定した。再開見通しは。

ステップを着実に進めて安全・安心の持てる発電所を構築している。地震動を設定し、それに基づく復旧工事をどうするかという一つの大きなステップにあるのは事実。ただ、いろいろと(国の)委員会の審議もあり、見通しを言える段階にはない。
(井下健悟 =週刊東洋経済)

かつまた・つねひさ
1940年生まれ、東京都出身。63年東京大学経済学部卒、東京電力入社。98年常務取締役、99年副社長、2002年社長。今年6月に会長就任予定。05年から電気事業連合会会長(6月に退任予定)。

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