フィリピン麻薬戦争、「殺害リスト」の大問題 容疑者リストは殺害のためのリストなのか

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セレスティーノさんは殺害される3日前、警察とバランガイ職員が主催する3時間の「麻薬啓発」セミナーに出席していた。「変わろうとする彼の意志の現れだった」とゲバラ氏は言う。

セレスティーノさんの4人の子どもの1人であるジョンパトリック・セレスティーノさん(17)は、身震いしながら父親が亡くなった夜の記憶を語ってくれた。

午後9時頃、犬たちが吠え始めた。ドアのところに武装した男たちがいて、ジョンパトリックさんに携帯電話に表示された写真を見せ、「これは君の父親か」と尋ねた。

彼が「そうだ」と答えると、男たちは2階に駆け上がり、セレスティーノさんが隠れていた小部屋のドアを蹴破ったという。

彼らに続いて部屋に入ったジョンパトリックさんによると、「男たちは『シャブはどこだ、シャブはどこだ』と叫び続けていた」という。「シャブ」とは、習慣性が非常に高いドラッグである結晶メタンフェタミンの現地名で、フィリピンに広く出回っている。

ジョンパトリックさんは男たちに、父親は丸腰だといい、撃たないでくれと懇願した。だが銃を持った男の1人が室内に向けて3発発砲し、父親が苦痛に呻く声が聞こえた。

男たちはジョンパトリックさんにその場を離れるよう命じ、彼が1階に駆け下りると、さらに5発の銃声が聞こえた。

警察は、セレスティーノさんが22口径の回転式拳銃と「シャブ」の小袋3つを所持していたと発表した。

食い違う主張

妻のザンディさん(38)は、それは事実ではないと言う。「夫はすでに自首していた。それなのに、どうして彼を殺したのだろう。なぜもう一度チャンスを与えなかったのだろう」と彼女は問いかける。

セレスティーノさんの棺の周囲に座った親族たちは、他の一族とのあいだで長年にわたる確執があり、彼らがセレスティーノさんは麻薬の密売人であると警察に告発したのだろうとロイターに語った。ロイターでは、この主張を独自に確認することができなかった。

マニラ東警察区のRomulo Sapitula警視正によれば、確かにリスト上ではセレスティーノさんが麻薬密売人と記載されていたという。「情報の出所は地元の地域社会だ」と彼は言う。「バランガイの職員から提供された情報を、警察が検証している」

同警視正は、発見されたというドラッグはセレスティーノさんの遺体に故意に仕組まれたものだという家族の主張を一蹴した。内部調査では、セレスティーノさんが「射撃することを選んだ」ために、警察は正当防衛として撃ったという結論になったという。

Sapitula警視正は、家族は恐れることなく、正式に苦情を提出するべきだ語る。ただし、「彼らが潔白であり」犯罪活動に手を染めていない場合に限られる、と付け加えた。

セレスティーノさんの親族はロイターに対し、身内を殺したのと同じ人間に苦情を申し立てても意味はない、と語った。妻ザンディさんは、子どもの身の安全だけでなく、大家族の他のメンバーで、夫同様にすでに当局に「自首」している者にまで累が及ぶのではないかと心配している。

ザンディさんによれば、19歳になる息子のセドリックさんは、父親を殺されたトラウマで話すことができなくなったという。

執筆:Andrew R.C. Marshall、John Chalmers 翻訳:エァクレーレン

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