扇動政治家の論調、実はファシズムと同じだ 過去への無関心が怪物を目覚めさせつつある

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ファシズムの新たな夜明けは近づいているのか? 写真はヒトラーの著書「わが闘争」。ベルリンで昨年12月撮影(ロイター/FABRIZIO BENSCH)

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今、われわれが目の当たりにしているのは、ファシズムの夜明けなのだろうか。多くの人がそう感じている。ドナルド・トランプ氏やプーチン露大統領、そして欧州の扇動政治家たちが「ファシスト」に例えられているからだ。

こうした独裁主義的な潮流は遠くフィリピンにまで及んでいる。同国の次期大統領、ロドリゴ・ドゥテルテ氏は犯罪の容疑者を「マニラ湾に投げ捨てる」とまで明言した。

言葉の濫用が、真の危険を見えにくくしている

「ファシズム」や「ナチス」といったたぐいの単語は、無知な人物がさまざまな場面で濫用するがために、本来の意味合いが失われてしまっている。ファシズムがかつて何を意味したのかを、実体験として知っている人はもはや少ない。自分が快く思わない人や思想を形容する一般的な用語になってしまった。

いい加減な言葉遣いによって雑になってしまったのは、政治に関する議論だけではない。歴史の記憶もまた然りだ。こうした結果、現代の扇動政治の真の危険性を、あまりにも見落としがちになっている。

トランプ氏やプーチン大統領らにしても、ファシストやナチスであるとの非難に反論することは簡単だ。彼らは不愉快な人物かもしれないが、突撃隊を組織したわけでも、強制収容所を建設したわけでもない。もっとも彼らが、自分たちが比較される怪物の正体を理解するだけの歴史的知識を持ち合わせているかは疑問だが。

現代の政治論議の中には、歴史的に見て最も暗い部分と似た点がある。数十年前でさえ、そんな話を政治家がしていたなら表舞台から追放されてしまっていたであろう内容のものだ。少数派に対する憎悪の扇動、マスコミに対する痛烈な批判、大衆を焚きつけて知識人や資本家、あるいは二つ以上の言語を話す人間を標的にする。

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