フィリピン麻薬戦争、「殺害リスト」の大問題 容疑者リストは殺害のためのリストなのか
[マニラ 7日 ロイター] - マニラの輪タク運転手、ネプタリ・セレスティーノさんの死をめぐっては、2通りの主張がある。フィリピン警察は、9月12日におとり捜査を進めていた私服警察官に対してセレスティーノさんが発砲してきたため、警察官らが反撃したと説明している。
一方、セレステイーノさんの家族は、警察官が彼らの粗末な家に押し入り、丸腰のセレスティーノさんを追い詰めて、10代の息子たちの面前で射殺したと主張する。
どちらが正しいにせよ、セレスティーノさんの命はそう長くなかったようだ。というのも、彼が暮らす首都マニラの東側にある騒々しく車通りの多いパラティウ地区で、警察が地元の有力者らの協力を得て作成した麻薬容疑者の「要注意リスト」に彼の名前が挙がっていたからだ。
3600人以上の死者
ドゥテルテ大統領が6月30日に就任して以来、3600人以上の死者を出すに至った「麻薬戦争」において下働き役を務めているのが、警察による容疑者リスト作成を支援するそうした地元の人々である。
ロナルド・デラロサ国家警察長官によれば、警察によって射殺された1377人の大半はこのリストに含まれているという。残りの2275人の犠牲者は、人権活動家によればほとんどが自警団によって殺されているというが、このリストに掲載されているかどうかは不明だ。