上昇した実質金利の低位安定化が急務 水野温氏・元日本銀行審議委員に聞く(下)

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FRBは出口について説明している。バランスシートを拡大する政策については、雇用回復など持続的な景気回復が視野に入った時点で資産買入れ規模を見直していくとしている。そして、異例な低金利政策については、かつては「2015年半ばまで続ける」、最近では「失業率6.5%、インフレ率2.5%」を出口を検討する必要条件(十分条件ではない)としている。

日銀の白川前総裁が「量で勝負しない」といっていたのに対して、バーナンキFRB議長は当初は「量」で勝負するといっていたが、うまくいかずに、時間軸政策にシフトしてきている。

ちなみに、日銀は投資マネーが国債市場からリスク資産へシフトする「ポートフォリオ・リバランス効果」の発生に期待しているが、国内機関投資家が日本国債中心の運用方針を修正して、アセット・アロケーションの変更を行うためには、第1に日本国債の金利が十分に低下すること、第2に内外金利差が投資妙味のある水準まで拡大すること、という条件が満たされる必要がある。

ただ、生命保険会社は、長期の円の負債に対して長期の円の資産をマッチングさせる運用が基本であり、公社債が資産運用の中核資産だ。仮に、前述の2つの条件が満たされたとしても、生保が日本国債への新規資金の配分を大幅に減らし、外債投資を急増させる可能性は低いだろう。

民間金融機関の体力消耗、市場の復元力の低下を懸念

日本の金融機関にしてみれば、米国のように国債よりも大きな社債マーケットがあるわけではない。金融規制強化もあって株式保有比率を引き上げにくく、外債投資を大幅に増やすほど十分な内外金利差もない。中核的な運用資産は日本国債である状況は変化しそうにない。

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