上昇した実質金利の低位安定化が急務

水野温氏・元日本銀行審議委員に聞く(下)

従来の日銀の長期金利安定に関する考え方は、短期金利をしっかり抑えておけば、イールドカーブがスティープ化する。長短利回り較差による利益を確保できるため、銀行勢の国債保有動機が高まる、というものであった。しかし、新しい枠組みの結果、中短期債の利回りが不安定な状態となってしまった。5年債の金利は1月4日に0.2%だったものが、3月末に0.1%に下がり、5月15日には4倍の0.455%に跳ね上がった。

短中期債は銀行のポートフォリオの中核を占める国債の年限であり、中短期債を銀行から日銀に売却することで、日本銀行の超過準備、すなわち、マネタリーベースが積み上がっていく。超過準備の付利金利が0.1%であるため、5年債の利回りが0.1%近くまで低下しないと、「マネタリーベースが、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう」行うという金融市場調節方針は機能しない。

金利暴騰のリスクがある。出口戦略を考えておくべき

日銀は、量的・質的金融緩和の出口に関する市場の疑問に対して十分に説明しておらず、「出口の議論をするのは時期尚早である」と述べている。しかし、非伝統的政策の「出口戦略」について考えておくことと、出口のタイミングをいつか議論することとは別問題である。

白川前総裁がこだわっていたように、日銀が購入する国債の残存年限を3年までにとどめておけば、国債償還によって自然に量的緩和は出口を迎える。一方、量的・質的金融緩和のように、日銀の購入する国債の平均残存期間が7年と極めて長期化されると、スムーズな出口は困難になる。

「イールドカーブ全体の金利低下を促す」ために、買い入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債として長期国債買い入れの平均残存期間を7年まで延ばし、かつ、国債発行額の70%を日銀が市中から買い入れる必要があると思われない。量的・質的金融緩和の出口で長期金利が暴騰するリスクがある。

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