安定のコツは基本に忠実に 自分なりのフィニッシュの形をつくろう

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今、ゴルフ場は花盛り。色とりどりのツツジが所狭しと咲き始め、新緑とそのすき間からこぼれる日差しの中を歩くだけで幸せを感じます。さらにスコアが良かったら最高ですね。クラブハウスで飲むビールもおいしくなるに違いありません。

さて、ゴルフはいかに良いスコアでプレーするかでプロもアマチュアの方々も真剣に悩んでいます。ああでもない、こうでもないとレッスン書を読みまくり、いい先生がいると聞けば習いに行き、精神を鍛えたら安定すると聞けば修行までしたりします。上達の方法は千差万別ですが、間違いなく言えることは基本に忠実に、ということです。人の体つきや考え方、動きの癖など考慮しても押さえるべきポイントは必ずあり、それが基本です。いくつか基本はありますが、どんなハンディキャップの人でも良いショットを打てるのはそこが合っているからであり、ハンディキャップによってそこに合う確率が変わるのです。

たとえば、最近こんな質問を受けました。なかなか安定しないと。シングル入りを目指すその方は、当たればすごく飛びます。スイングとしてはテイクバックで肩の回転が少し浅くインパクトで右肩が下がりぎみです。インパクトめがけて思い切りボールをたたきにいくので、インパクトですべての力を使いフィニッシュまで到達しません。

さて、これを安定させるにはどうしたらいいでしょう。レッスンのポイントは、基本に照らし合わせる、です。大きな基本は三つ。

1、打ちたい方向にまっすぐ立てているか。立てていないと、スイング中打ちたい方向にボールを飛ばそうと体や手を引いたり出したりして、余計に不安定な動きを自ら作り出してしまいます。

2、クラブをその番手どおりに正しく構えているか。つまり、必要以上にクラブのシャフトを左に傾けるとロフト角が変わり、クラブヘッドの底が地面にしっかりついていないとクラブのライ角が変わります。ハンドアップやハンドダウンになるので、そのクラブの性能を十分生かせない構えになります。自分がすんなり構えたところにクラブのライ角が合うのが正しいので、クラブに合わせず自分の構えにクラブを合わせます。

3、フィニッシュまで振り切る。つまり、最後まで振り切る意志を持って振っているかどうかです。これが最も大事です。最終地点であるフィニッシュの位置はどこか、形はどうなのかを決めることで、フォローをどこにするかが決まります。フィニッシュを決めずにスイングをすると、打った後のフォロースルーは惰性となり、振るたびに毎回違うスイング軌道を取ることになるので安定は難しくなります。

ゴルフのスイングでも最後の着地点であるフィニッシュがわからなければ、暗中模索の状態と同じです。さらにゴルフが楽しくなるために、基本を押さえ、自分なりのフィニッシュの形を作ると、グッと安定度は増すと思います。

小林 浩美 プロゴルファー

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こばやし ひろみ

1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。

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