あの熱気から1年半、「ブルーボトル」最新事情 次にオープンするのはどこなのか
米国、とりわけブルーボトルが誕生したサンフランシスコにおいて、カフェは自宅、会社とは異なる3番目の場所=サードプレイス的な存在。コーヒーを飲むだけでなく、ゆったりくつろいだり、仕事をしたり、ミーティングをしたりする居場所になっている。そうであれば、画一的な店ではなく、それぞれの場所に合った「ブルーボトルらしい」空間を提供したいという思いが、フリーマン氏には強い。
その出店戦略は日本でも変わらない。数ある出店候補地を、井川氏ら日本チームが選定したのち、最終的には必ずフリーマン氏自身が足を運ぶ。出店の基準は感情に訴えるものがあるかどうか。「実際に歩いて近所がどんな雰囲気かを感じる。『このビルは面白いね』『この通りはいいね』という感じで、ブルーボトルにあっているかどうかを見極める。人通りや交通量が多い、といったことは決める要素に入らない」(フリーマン氏)。
インテリアの細部にまで指示
店のコンセプトやインテリアなども、そのエリアや建物にあったものをとことん考え抜く。現在、店舗のデザインは建築家の長坂常氏が率いるスキーマ建築計画が手がけているが、フリーマン氏が自らインテリアのコンセプト画を描いたり、机や椅子の高さや位置、デザインなどに意見を出すことも少なくないという。
そこまで「その場所にふさわしい」カフェにこだわる理由は、単に居心地のいい場所を作りたいからだけではない。上陸から20カ月経った今、“出身地”のサンフランシスコと同じように、その地域で受け入れられて、近所の人たちが日々訪れるようなカフェを作ろうとしているからだ。
「清澄白河のオープン時にお客さんやメディアから予想をはるかに超える反応があったことはうれしかった反面、『ハネムーン期』が過ぎた後に誰もブルーボトルのことを話題にしてくれなくなったらどうしよう、という心配もあった」と井川氏。「そうならないためにはどうしたらいいのか。何度も話しあって、結果的にコミュニティとのコラボが大切だというところに行き着いた。ブルーボトルの店舗は、それぞれ地域や特徴、顧客層が違う。そういう中で、どの店舗もイベントを開いたりしながら、地域の人の関心を集めようとしている」
たとえば、住宅街にある清澄白河店では、近所に小学校があるため、夏休みに小学生を招いて実際にコーヒーの焙煎を行う工場の見学会を実施。ファッションやIT関連企業で働く顧客が多い青山店では、夜にイベントを開いたり、企業がセミナーを開くのに場所を提供したりしているという。
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