国際テロの資金源「象牙」の違法取引を許すな 日本が取り組むべきことは何か

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1989年までに輸入された象牙は2000トン。これは、現在の消費量の10倍以上です。これらのストックを流通させるための流通市場の重要性も否定できません。そもそも、市場をなくしたとしても、需要があれば、取引を行うインセンティブは発生します。そのため、単に流通市場を閉鎖しても、ブラックマーケットが活性化され、象牙の密売が促進される懸念があります。逆に管理された市場の場合、トレーサビリティも確保されるため、違法取引の摘発がしやすいという面があります。

ワシントン条約の会合に先んじて、9月に開催されたIUCN(国際自然保護連合)の総会では、自然保護団体が、一刻も早く日本や中国の象牙の国内市場の閉鎖を主張しました。これは、市場を閉鎖するほうが、市場価格という有力なシグナルを消失させることで、密猟のインセンティブを下げるほうが効果的と考えていると解釈されます。しかしながら、このインターネットの世の中、需要があれば、その情報が世界中に伝播してしまうと考えるのが自然ではないでしょうか。

需要を減らすことが何よりの対策

(筆者作成)

それでは、どういった対策が必要なのでしょうか。単に取り締まりを強化した場合、供給量を抑制することになるため、取引量を削減することになったとしても、価格を上昇させることになります。これを簡単に需要・供給曲線の動きで示してみるとどうでしょうか。

規制を強化し、供給曲線が左側にシフトすることで、取引量は低下します。価格は上昇することになります。これは密輸が困難になる反面、万が一成功した際の報酬が大きいことを意味します。また、価格の上昇が歪んだシグナルを密輸業者に与えかねないという懸念にもつながります。

密猟を防ぐには、取引量のみならず、価格を下げ、象牙取引の魅力を減らさなければなりません。そのためには、そもそも需要を減らすことが不可欠です。

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