ソニー、営業利益横ばい計画は慎重すぎる 円安効果は強烈、会社見通しは上振れへ

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5月9日に会見をしたソニーの加藤優CFOは「大変忙しく、いろいろなことをやった1年だった。もちろん道半ばだが、それなりの手ごたえがあった。13年度(2014年3月期)につながる12年度(13年3月期)であったと思う」と前期決算を総括した。

円安が強烈な追い風、1ドル100円なら業績計画は上振れ

では、4月からスタートした今2014年3月期はどうなるのか。会社側は、期初の段階では売上高7兆5000億円(前期比10.3%増)、営業利益2300億円(同・横ばい)と見込んでいる。

前13年3月期にあった資産売却益などの特殊要因を見込まなくても営業利益が横ばいになる理由としては、テレビの黒字化、スマホの伸長によりエレキ事業が1000億円の黒字(前期は1344億円の赤字)になるためだ。エレキ事業は前期の人員削減による人件費減効果だけでも300億円ある。カメラ、ゲームなどの落ち込みが懸念されるものの、エレキ事業の黒字化は現実的な目標といえるだろう。

円安という強烈な追い風もある。今2014年3月期の為替前提は1ドル=90円前後(前期実績は1ドル=83.1円)、1ユーロ=120円前後(同・1ユーロ=107.2円)。会社の業績計画はこの水準での円安を前提にしており、売上高で4000億~5000億円、営業利益では600億円のプラス要因になっている。

しかも、足元はさらに円安傾向が進んでいる。

ソニーの業績において、売上高では、1ドル当たり1円の円安で500億円のプラス要因、1ユーロ当たり1円の円安で100億円のプラス要因となる。営業利益で見ても、1ドル当たり1円の円安で30億円のマイナス要因、1ユーロ当たり1円円安で70億円のプラス要因だ。

現状の円安水準が継続した場合、収益にはプラスに働く可能性が高い。そこで、東洋経済では、ソニーの今期業績について、売上高は7兆8000億円(会社計画比で3000億円プラス)、営業利益は2500億円(同・200億円プラス)程度まで上振れするものと見ている。

(撮影:今井康一)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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