円安の進行で輸出型企業を中心に業績回復の期待が集まる中、利益計上とその累積とは別の経路で、自己資本が増強される企業が増えている。そのカギは「為替換算調整勘定」の改善だ。
3カ月で3兆0025億円の改善
東洋経済が財務データベースを集計した結果、連結貸借対照表に計上された自己資本の内訳項目である「為替換算調整勘定」の総計は、2012年9月末(第2四半期)は▲14兆0566億円だったのが、12年12月末(第3四半期)には▲11兆0541億円と、3カ月間で3兆0025億円改善した。(3月期、一部事業会社と金融を除く)
自己資本全体では8兆7714億円増加したが、そのうちの34%が為替換算調整勘定の改善によるものだった。
為替換算調整勘定とは、連結決算を実施する際、親会社が在外子会社などの財務諸表を円貨換算する際、決算時レートを用いる資産・負債と取得時等のレートを用いる純資産とで生じる差額のこと。自己資本の内訳項目として計上される科目であり、その変動額は損益計算書には計上されず、直接自己資本に増減される。
各社によってそれぞれのレートは異なるが、日本企業の一般的な傾向としては、円高になれば自己資本に対してマイナスに、逆に円安になればプラスに作用する。12年12月末時点では、9割弱の企業がマイナス値での計上で自己資本を毀損する形になっており、それだけ海外子会社取得時のレートは現在と比べ円安が多かったと言えるだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら