ネット選挙解禁でも、政治は劇的には変化せず マスコミの「ネット選挙=政治激変」論調への違和感(上)

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唯一、選挙期間中に更新できることのメリットとして考えられるのは、選挙期間中の活動場所を告知することができるようになることくらいです。

選挙期間中の街頭演説や個人演説会等の場所を事前にインターネットで告知しようとすると、「事前運動の禁止」(選挙期間前に選挙運動を行うことは禁止されています)に触れてしまい、また、選挙期間中に告知しようにもホームページなどの更新が禁止されているというジレンマに陥っていた点をクリアすることができるのです。

街頭演説や個人演説会などに多くの人を動員できる組織力がない候補者にとって、インターネットを使って告知できるようになることは力強いのですが、それくらいしかメリットがないというのは、何となく寂しいものがあります。

詰まるところ、ネット選挙が解禁されても、選挙期間中にインターネット上にアップされる情報は、「○○で演説をします!」「○○で演説をしました!」「○○が応援に駆け付けてくださいました!」「今日も元気に頑張っています!」といった、政策とは程遠く、有権者が受け取る価値の極めて小さい、「頑張っていますアピール」くらいだと容易に想像できてしまいます。

次回も、もう少し、ネット選挙について、読者のみなさんと考えてみたいと思います。(次回は5月17日前後のアップを予定しています)

よこくめ 勝仁 政治解説者、弁護士

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よこくめ かつひと

 1981年9月10日生まれ、愛知県出身。中卒・トラック運転手の父のもと、裕福でない家庭で育つ。父のように、家族のためにがむしゃらに働く人が幸せになれる社会を作るため、小学生のときに政治家を志す。東京大学法学部を卒業した年に司法試験に合格し、弁護士に。「総理」というニックネームでフジテレビ系恋愛バラエティ番組『あいのり』に出演。2009年の第45回衆議院議員総選挙で、神奈川県第11区において小泉進次郎氏らと戦い、比例復活で初当選を果たす。2012年の第46回衆議院議員総選挙では、東京都第18区において無所属で菅直人氏らと戦い、落選。現在は、「政治解説者」と「弁護士」と「文化人」という三足のわらじを履き、日々奮闘中。
 




 

 

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