トヨタ、営業利益1.8兆円計画は慎重 14年3月期、円安続けば上振れも

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トヨタ自動車は5月8日、今年度(2014年3月期)の業績見通し(米国会計基準)を発表した。売上高23兆5000億円(前期比6.5%増)、営業利益1兆8000億円(同36%増)などを計画。5年ぶりの営業利益1兆円台に乗せ、大幅に業績回復を果たした前年度(13年3月期)から一段の上積みを目指す。

全世界ベースで販売台数を積み上げるとともに、原価低減や円安効果なども寄与する。一方で、トヨタ側の計画には慎重な面もみられる。現時点で4000億円の増益要因を見込んでいる円安効果は、もっと大きくなる可能性もあるからだ。

想定為替レートはドル90円、ユーロ120円

トヨタの想定為替レートは1ドル90円、1ユーロ120円。1ドル100円手前、1ユーロ130円手前で推移している足元の為替水準よりも、円高だ。トヨタの場合、想定レートよりも1円の円安になると、ドルで350億円、ユーロで50億円の営業利益押し上げ効果がある。足元の水準が続くという想定はできないものの、想定レートよりも円安に推移すれば1000億円単位で利益が上振れる可能性もある。

トヨタグループ全体の今年度販売台数計画は、1010万台(前年度は969万台、4%増の計画)。過去最高のうえ、1000万台の大台に到達する見通しだ。国内については145万台と、昨年末に発表していた140万台から上方修正。加えて、同日、都内で会見した小平信因副社長は「国内は景況感が良くなっており、すべり出しは大変順調」とさらなる上積みへの期待も示した。

海外も好調に推移する見通しだ。米国の自動車市場は活発な動きを見せており、主力車種のカムリやカローラが好調なうえ、新型車の効果もあり、220万台以上を狙えるとした。中国も直近4月の台数は前年同月比93%という水準まで持ち直してきており、年度全体では90万台以上(前期84万台)になる見込みだという。

さらに小平副社長は「原価低減の効果については、すでにメドがついているもののみを見通しに盛り込んでいる」と、今後さらに利益が押し上げられる可能性があることも示唆した。

トヨタが同日発表した13年3月期決算は、連結営業利益が前期比3.7倍の1兆3208億円、当期純利益は同約3.4倍の9621億円となった。営業利益が1兆円の大台を突破したのは2008年3月期以来5期ぶり。増収効果に加え、原価低減で4500億円、円安で1500億円の増益効果があった。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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