リクルートは「激安決済サービス」で稼げるか 楽天と対決、ApplePayも上陸目前

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「2020年の東京オリンピックに向けて、訪日観光客は増える一方。カードや電子マネーでの決済ニーズが今後ますます高まる」と、決済ビジネスに高い成長性があることを、戸田執行役員は強調する。

執行役員の戸田氏は電子決済ニーズの高まりを背景に、ビジネス拡大に取り組んでいると説明した

日本クレジット協会によれば、クレジットカード対応の端末台数は161万台(2015年11月末)。これに対して、小売や飲食の店舗は全国に約300万店以上ある。特に中小店舗での導入が進んでいない。

一方で、クレジットの発行枚数は2億5890万枚(2015年11月末)、電子マネーはSuicaが最大で5750万枚(2015年12月末)。それなのに、クレジットカード決済は決済全体の2割にも満たない。依然として8割強は現金決済なのだ。

カードや電子マネーの枚数に比べてカード・電子マネーの決済端末を備える店舗がなかなか増えないのは、導入コストの高さや、手数料率などランニングコストの高さ、入金までのタイムラグがある。

ApplePay上陸は目前だが…

Airペイの主な競合企業はスクエア社と楽天の2社。Airシリーズはこれまでスクエア社に決済業務を委託してきた。これからは、スクエア社とリクルートのどちらにするかを顧客である店舗側が選ぶことになるという。「スクエア社との協業関係は今後も続く」(戸田執行役員)というから、当面はリクルート・スクエア連合vs楽天の図式になりそうだ。

生活情報誌や就職情報誌が主体のリクルートLS。その新規ビジネスの一つであるAirペイは一体どこまで伸びるのだろうか。

日本のクレジットカード利用率の低さや、店舗でのカード端末導入率の低さは、裏を返せばAirペイの伸びしろでもあるが、今月はApple Payの日本上陸が見込まれるなど、決済関連事業の競争激化も予想される。リクルートLSは新たなビジネスチャンスをモノにできるだろうか。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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