国会の二軍?それでも参院選が注目なワケ 歴代の総理大臣はゼロ。衆議院に比べ、存在感も超希薄
安倍政権にとって、自公での過半数獲得が重要なワケ
さて、ここで、話を参議院議員選挙に戻しましょう。
参議院選挙は衆議院選挙以上におカネがかかります。たとえば、東京都には衆議院選挙の小選挙区が25あるのに対し、参議院選挙の東京都選挙区は東京都全体で1つなのですから、単純計算だと衆議院選挙の25倍、スケールメリットを考慮に入れても10倍以上はかかるのです。
また、衆議院選挙では数百箇所ある公営掲示板に選挙ポスターを張ることを、業者に頼むとなると数十万円かかりますが、参議院選挙では数百万円かかってしまいます。また、選挙運動期間の前に政治活動として、ビラをポスティングや新聞折り込みをする場合、衆議院選挙なら数十万円でできますが、参議院選挙ですと数百万円かかります。
さらに何万、何十万人もの名簿を使って郵便物を出そうものなら、気が遠くなるほどのおカネが必要です。それを考えると、6年間は絶対に安泰であるというメリットも簡単に吹き飛んでしまうのかもしれません。
アベノミクスを旗印に、国民の高い支持率を得て突き進んでいる安倍内閣は、7月の参議院選挙での勝利(自民党・公明党での参議院の過半数獲得)を非常に重視しています。安倍内閣は自公で衆議院の3分の2以上を確保しており、たとえ法案が参議院で否決されても衆議院の再可決(憲法第59条2項)により、どんな法案も通すことができるのですから、参議院の過半数獲得にこだわる必要はないように思われるかもしれません。
しかし、いわゆる「3分の2条項」は麻薬であり、両刃の剣でもあるのです。
衆議院だけで決めていければ非常に楽ではあるのですが、一度やってしまうと癖になる一方、それを連発してしまうと、野党の反発は必至であり、参議院との対立も決定的になり、また国民の反発も受けかねないのです。
実際、衆議院の3分の2を確保していた小泉内閣においても、3分の2条項は指で数えられるほどしか使われていません。だからこそ、衆参の過半数確保こそが政権運営の王道であり、安倍内閣もそれを目指しているのです。
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