イオンが買収攻勢か 金融で大膨張計画 イオンの動きにノンバンク業界は身構える

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銀行再編でシナジー追求

4月には、金融事業を統括するIFSを設立。傘下にノンバンクと銀行を置く事業再編を完了した。同時に、国内クレジットカード事業の発行をイオン銀行に移した。

これで、クレジットカード事業が貸金業法の対象から外れた。融資額を個人年収の3分の1までに制限する総量規制を受けなくなる。イオンの国内カード会員の7割は女性が占める。夫の収入との合算(世帯収入)や金融資産を考慮し、貸出枠を見直すことができるため、キャッシングを大きく伸ばす余地が出てくる。これは業法に縛られるライバルが恐れる独自の強みとなる。

カード事業と銀行との連携強化などで、カード会員数を約1.5倍、カードキャッシング残高を2~3倍、住宅ローン残高も3倍に引き上げられるとそろばんをはじく。

国内クレジットカード事業の資金調達先を、他金融機関からイオン銀行に順次切り替える方針だ。借入金約5000億円の金利負担は確実に軽減する。カード会社と銀行の重複部門統合などでコストを削減すると同時に、浮いた間接人員を金融のインストアブランチに配置するなどで出店強化、営業強化も図る。

こうした事業再編による効果を織り込むことで、「4年あれば1000億円は行ける」と森副社長は、あくまで自前の成長に自信を示す。

もっとも、ノンバンク業界全体は停滞が続いているため、「信販や割賦業者の売り物はある」と関係者は打ち明ける。イオンにその気があれば、今後、買い物が続く可能性はある。

この先、イオンがどう動き出すのか。流通業界だけでなく、ノンバンク業界もかたずをのんで見守っている。

(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2013年4月27日-5月4日合併号

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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