これだけの海外展開をするのですから、足りなくなるのは人材です。実際に現地の店舗で働くスタッフはもちろんのこと、それを束ねる店長を確保しなくてはいけません。
現場だけではなく、出店を企画するような戦略スタッフやマーケティング人材が必要です。さらには現地に直接配属されなくても、店舗の経営をモニタリングしたり指導したりする本社の人材も拡充しなくてはいけません。日本の本社スタッフも増え、グローバルな仕事に当たる人が増えていくのです。
「ブラック」だと言われて問題になっているユニクロの店長職ですが、ユニクロは日本人を採用して現地に派遣するだけではなく、店舗がある中国で、中国人を採用して店長にあてる方向に舵を切りました。
2012年の新卒採用では、「新卒の8割に当たる1050人を外国人から採用する」として、話題になり、日本の新卒の学生の間で、「日本に雇用がなくなるのでは」とショックが広がりました。日本企業の雇用の形が変わってきているのです。
駐在員ではなく現地採用が増えている
今までは海外で働くというと、本社から駐在員として送られるというのが一般的でした。しかし、現在、駐在員は現象の一途をたどっています。代わりに出てきたのが、現地採用です。ユニクロと同様に、パナソニックも新卒の多くを外国人採用とすると発表して注目を浴びました。
実際に、今年発表された2014年度の新卒の採用計画では、「国内外の合計は1450人と24年度と同水準を維持し、うち国内の新卒採用も前年度と同じ350人を計画する。全体に占める海外採用の比率は約76%で、海外展開の強化に合わせた人材確保に力を入れる」(Sankei Biz 2012年3月19日の記事より)としています。パナソニックは、事業計画の中で、将来的に海外の売上比率を60%近くまで伸ばしていくとしています。
そして、これらの海外拠点で働く人材は、現地採用にするということです。現地の学生に加え、海外で働きたい日本人も含めて、外国人・日本人の区別なく、海外拠点での採用を行う、というのです。
今後は、パナソニックは日本での採用をどんどん絞っていくでしょう。パナソニックで働きたかったら、日本人といえども、海外拠点の採用に応募する。そういう時代がやって来そうです。