多様な職種が海外に出ている
日本貿易振興会(ジェトロ)が、従業員50名規模の中小企業も含めて海外ビジネスに興味を持っている9357社に行った調査、「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(平成23年度)」によれば、今や、海外に拠点を持つ企業は、中小企業も含めた全体で51.5%、半数以上の企業が海外進出を果たしています。
しかもその場所は、米国やヨーロッパがそれぞれ33%、22%にとどまる中、アジア圏の国々が高い数字となっています。
タイの31%、香港の24%、シンガポールの20%、ベトナムやインドネシアといったまだ発展途上と思われる地域ですら17%もの会社が拠点を置いているのは驚きです。
そして、その中でも、近年急速に増えているのが、研究開発拠点と、統括拠点です。
かねてから、日本企業は、工場を海外に移転していましたが、工場の移転が一段落つくと、次に、研究開発の機能や、営業所も現地に置くようになりました(たとえば中国に研究開発の拠点を置く企業は8.4%から9.8%に増加〈2010年→2011年〉しているといいます)。
さらに、海外事業の取りまとめを行う統括拠点を、海外につくる企業が増えました。アジアに統括拠点を置く企業は7.1%から9.5%と急増しています。
このようなデータをみると、今までのように、工場と、工場管理者が海外に行くという図式から、さらに広い職種が海外に進出していることがうかがわせます。
販売拠点であれば営業ということになりますし、研究開発拠点であれば技術者・研究者、統括拠点であればそれこそマネジメントや、経理・財務・人事・IT・マーケティングといった職種の人も、それに合わせて海外に進出することになります。こうした動きによって、海外で働く人の職種が増え、多くのポジション、就職機会が生まれてきているのです。
ユニクロの海外店舗数は60%もアップ
ユニクロ(ファーストリテイリング)の事例を見てみましょう。ユニクロといえば、ここ数年で一気に海外進出し、社内の公用語を英語とするなど、グローバルシフトが激しい会社です。
2012年8月期では、国内のユニクロの売り上げは3.3%増止まり、店舗数に至っては、わずかに2店舗増えただけです。一時期ユニクロが成長の限界を迎えたといわれていましたが、確かに国内だけをみれば数字は成長の限界を示しています。
しかしながら同じ時期の海外での成長をみると、売上高は63.4%増の1531億円。店舗数に至っては111店舗増やし、前年度から60%の大幅増です。
同社のHPによると、2013年8月期において、海外ユニクロ事業は売上高2,160億円(前年比41.0%増)、営業利益160億円(同45.5%増)の急成長となる計画です。