死んでたまるか! 日本の電機 2013年、電機の最終的な浮沈が懸かっている

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パナが迫られる プラズマの総括

結局、第3工場は稼働からわずか1年半で生産停止となる。「すぐに閉鎖すべきだ」。11年にAV機器部門を統括していた津賀一宏専務が、大坪社長らに対して直談判したのだ。このとき、中村、大坪の両氏は反対しなかったという。

現在は第2工場だけが生産を続ける。ほぼ全量が自社テレビ「ビエラ」向けで、50型以上など大型がメインとなっている。操業状況は意外にも悪くない。年末商戦向けの製品を造っていた昨秋の稼働率は8割、端境期の直近でも6割程度を維持しているもようだ。

ただ、その先行きは厳しい。プラズマテレビの売り上げは一貫して減り続け、パナソニックの11年度の売上高は前年比4割減の2838億円。12年度はここからさらに半減する見通しだ。

同じく不振が続く液晶パネルは、儲からないビエラ向けの生産を段階的に減らし、外販を増やすことで生き延びようとしている。昨年はアマゾンの電子書籍端末「キンドル・ファイア」向けの受注を獲得した。

プラズマも教育用の電子黒板などに活路を見いだしたいが、「高価格が嫌気されほとんど成約に至っていないようだ」(証券アナリスト)。

設備産業であるため、地元・尼崎での雇用はもともと多くない。ただ、サプライヤーには確実に影響が出ている。ガラス基板を納めていた日本電気硝子は、パナ尼崎の急激な生産調整を受け、12年3月期に設備の減損を余儀なくされた。

今年3月に行った中期経営計画の発表で、津賀社長はプラズマ撤退を明言しなかった。「利害関係者がいる。具体化する前に方向を明確にする必要はない」(津賀社長)。ただ、市場関係者は、「あとはタイミングの問題」という見方で一致する。

ここ数年続けてきたリストラの効果もあって、電機メーカー各社の業績は底を打ちつつある。株価も回復し、奇妙な安堵感も漂う。この先、ニッポンのエレクトロニクスは何を目指すのか。その答えは、しだいにはっきりとしてきた。

今号では電機各社の動きを紹介する。


週刊東洋経済編集部
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