死んでたまるか! 日本の電機 2013年、電機の最終的な浮沈が懸かっている

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ルネサスは昨年10月に希望退職を実施した。五千数百人の予定数に対して7400人以上が応募。従業員約1300人のルネサス山形でも300人以上が退職した。

これに対し、鶴岡市や山形県、鶴岡商工会議所などは協力して、ルネサス山形の退職者を雇用するよう地元企業に呼びかけた。一定の成果はあったが、全員の再雇用には程遠い。鶴岡市の有効求人倍率は11月以降、1倍を切ったままだ。

ルネサスは3月末にも追加で3000人規模の希望退職実施を発表しており、山形でもさらなる応募者が出る可能性がある。

鶴岡工場から程近くにあるハローワーク鶴岡。掲示板に張られた伝票の中に正社員求人は少ない。あってもサービス業がほとんどだ。

希望退職繰り返し 先が見えない

ルネサスはウエハサイズ300ミリメートルの最先端工場を二つ持つ。一つが日立系の那珂事業所(茨城)、もう一つがNEC系の鶴岡工場だ。

那珂事業所は、看板製品である車載マイコンの主力工場だ。東日本大震災で被災した際、トヨタ自動車をはじめとする日系自動車メーカーがヒト・モノを送り込み、短期間での操業再開を果たした。ルネサス救済のために、政府系ファンドの産業革新機構とトヨタなど民間8社が1500億円出資を決めたのも、那珂を外資ファンドに渡さないことが最大の目的だった。

一方の鶴岡は、ルネサスの赤字の元凶とされるシステムLSIを主力とする。ルネサスの日立主導が鮮明になる中で、一時は新規受注を止め、11年以降は海外企業を中心に売却先を模索してきた。

業界内には、鶴岡工場の技術を高く評価する声もある。「鶴岡工場が持つ技術が失われるのは日本の半導体産業の損失だ」と懸念するのは、ライバルだった日系半導体メーカーの元社長だ。

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