死んでたまるか! 日本の電機

2013年、電機の最終的な浮沈が懸かっている

鶴岡が磨いてきた混載DRAM技術は、記憶回路であるDRAMとロジック回路という製造工程がまったく違う二つを1枚のウエハ上で実現できる。量産できているのは世界でもルネサスだけだ。

現在は任天堂のゲーム機向けが大半で、用途が広がっていない。だが、モバイルやデーターセンターなど低消費電力の需要が増える中、将来性に期待が持てる。

一時期、この技術を武器に鶴岡工場が出資を募り、独立する動きがあった。社外にもこれを支援する機運があった。ただ、資金や先行受注を集める社内勢力の動きが鈍いままで、実現可能性は低くなっている。

工場の先行きが見えないまま、繰り返される希望退職。「残った人間は頑張るだけ。ただ、モチベーションの維持が難しい人間がいることも確か」。鶴岡工場のある従業員は苦しい胸の内を吐露する。

降って湧いた円安 一息つくエルピーダ

死んだかに見えた工場が、息を吹き返している。DRAMメーカー・エルピーダメモリの広島工場が今、活況に沸いている。直径300ミリメートルウエハで月間12万枚の生産能力はフル稼働中だ。

牽引役は、スマートフォン向けのモバイルDRAM。搭載端末ごとに要求される仕様が違うため、付加価値をつけやすい。価格変動が激しいパソコン用の汎用DRAMと違い、モバイルDRAMの価格は安定しており、利益を確保しやすい。

エルピーダは昨年2月に会社更生法を申請。負債総額4480億円で、製造業としては過去最大の大型倒産となった。現在は会社更生手続き中で、同業の米マイクロン・テクノロジー傘下で再建を目指すことが正式決定している。

エルピーダはリーマンショック後、世界的にDRAM需要が冷え込んだ折にも倒産の危機に瀕している。このときは、日本にDRAM産業を残すという大義名分の下、産業活力再生特別措置法(産活法)による公的資金300億円が投じられて難を逃れた。

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