「ネット記事=共有財産」説は、超ムリ筋だ 「コピペ」と「引用」…著作権侵害の境界線

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また、記事であれば、時事問題の論説の転載等(著作権法39条)の規定が使える場合もあるでしょう。

しかし、新聞・雑誌に掲載された時事問題に関する論説は、利用を禁ずる旨の表示がないかぎり、ほかの新聞、雑誌に掲載したり、放送したりすることができるという規定であり、利用できる場面が限定されていて、しかも「転載禁止」と記載されているときには、転載は認められないので注意が必要です。

価値ある著作物がネットから消えていくかも

なお、引用の場合にかぎらず、権利制限規定にもとづいて著作物を利用する場合、原則として出所表示が必要です(同法48条)。しかし、まずは権利制限規定の適用があることが前提であり、出典さえ書けば利用できるというものではありません。

「ネットに公開したら共有財産」という見解は、一見すると利用者にとって便利でメリットばかりのように思えます。しかし、多くの利用者がこの考えにもとづいてネット上の著作物を好き勝手に使いはじめると、価値ある著作物がネット上で公開されなくなっていく可能性もあります。

インターネットという豊饒な情報の海を維持するために、どのようなルールが必要なのか、長期的・多角的な視点で考えていく必要があるのではないでしょうか。

唐津 真美(からつ・まみ)弁護士
弁護士・ニューヨーク州弁護士。アート・メディア・エンターテイメント業界の企業法務全般を主に取り扱う。特に著作権等の知的財産権及び国内外の契約交渉に関するアドバイス多数。東京簡易裁判所・司法委員、第一東京弁護士会仲裁センター・仲裁人、第一東京弁護士会・法教育委員会副委員長。
事務所名:骨董通り法律事務所

 

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