ソーシャルゲーム、開発会社の黄昏 「恋してキャバ嬢」で一世風靡の「KLab」が大苦戦

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危ぶまれる財務内容

こうした環境下で、暗雲が漂うKlabだが、財務内容も危ぶまれている。

第2四半期末時点の現預金22.6億円に対し、短期借入金は34.4億円(前四半期比12.8億円増加)。会社は「昨年11月に発表した新株予約権の行使枠が残っており、合計20億円の資金調達ができる」(取締役経営管理部の中野誠二部長)とするが、目下の株価低迷から、「引き受け会社が新株予約権を行使しない可能性もある」(中野氏)という。

25.2億円まで減少した純資産は、今期修正計画の最終赤字9億円を計上すれば、さらに減少する見通しで、市場関係者の間では「追加で資本増強に踏み切るのでは」との観測も浮上している。期の後半にかけて仮に希望退職募集などによる特別損失を計上するとなれば、こうしたシナリオも現実味を帯びてくる。

KLabは、役員報酬の減額や外注費の削減でスリム化を図るほか、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」などの新作投入によって、挽回を図る算段だ。とはいえ、競争環境の劇的変化にすぐにキャッチアップすることは容易ではないだろう。「盛者必衰」として、このまま沈んでしまうのか。KLabが迎えている正念場は、ソーシャルゲーム業界全体の黄昏を象徴しているようでもある。

(撮影:吉野 純治)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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