ソーシャルゲーム、開発会社の黄昏 「恋してキャバ嬢」で一世風靡の「KLab」が大苦戦

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象徴的な事例が、人気漫画などを用いた有力版権タイトルの苦戦だ。一時期、開発会社は買い取った有力版権をソーシャルゲーム化し、グリーやモバゲー向けに投入すれば総じて成功していたが、もはやこうした方程式は通用しなくなっている。実際にKLabの「幽☆遊☆白書」や「スラムダンク」は、有力版権にもかかわらず、見込んだほどの業績を上げられていない。

もう一つの「ネイティブアプリ対応」とは、すなわち、スマートフォンへの対応だ。スマホ上でも従来型携帯電話と同じようにモバゲー、グリーを通じたブラウザゲームを遊べるが、ユーザーは「アップストア」(アップル)や「グーグルプレイ」(グーグル)といったアプリケーションストアから、一度アプリをダウンロードする必要がある。

開発費高騰の悩みも

開発会社にとっては、直接アップストアやグーグルプレイにゲームを提供できるという魅力がある一方で、「ネイティブアプリ」と呼ばれる端末内部のプロセッサーで演算処理をするゲームを作らなければならないため、従来のブラウザゲームと比べ、開発費が高騰するという悩みがある。真田社長は決算説明会の中で、「従来は1作品当たりの開発費は3000万~5000万円だったところ、今や億円単位が当たり前になっている」と漏らしている。

KLabはネイティブアプリへの対応は他の開発会社に比べても早かった。真田社長も「ネイティブアプリに対応しないことは、イノベーションのジレンマだ」と強く主張していたほどだ。

しかし、スマホ=ネイティブアプリが浸透する中で、ユーザーは「もしもしゲー」や「ポチポチゲー」と揶揄された単純なものではなく、純粋にゲームとして質の高いものを求めるようになっている。「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」が大ヒットしているガンホー・オンライン・エンターテイメントが成功例だが、KLabも含めた多くの開発会社はまだ目立った成果を出せていないのが現状だ。

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