「歯を失ったあの人」に教えたい治療の現実 入れ歯、インプラント…その利点と欠点

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インプラントに関連して、筆者が患者さんからよく聞かれるのは「どれくらいの耐久年数があるの?」という質問です。

インプラントは、入ってしまえば自分の歯とほぼ同じだと考えていいでしょう。手入れさえしっかりすれば自分の歯のように長く持ちます。一生といっても過言ではないかもしれません。手入れとは、毎日の歯ブラシと定期的なクリニックでのメンテナンスです。これさえ、しっかりやっていただければ本当に長持ちします。

ただ、メンテナンスを怠るとこの限りではありません。実はインプラントは、自分の歯のように歯周病(インプラント周囲炎)になることがあります。自分の歯も歯周病で抜かなければならなくなるように、インプラントも歯周病で抜かなければならなくなるケースもあります。

入れ歯のメリットとデメリット

一方で、ブリッジもインプラントもできない場合は、入れ歯という選択肢がありますが、これにもメリットとデメリットがあります。

入れ歯とは歯のなくなった部分に入れる、取り外し式の人工歯の事です。大きく分けて部分入れ歯と総入れ歯があります。また、保険内で作れるものと、保険では作れない自費のものがあります。

入れ歯は、歯が何本抜けていても骨がやせていても作れます。3、4回の通院で作れますのでインプラントほど時間はかかりません。保険が使えれば費用も安く、外して洗えたり、外科手術の必要がなかったりなどといった点もメリットでしょう。

一方で、入れ歯は慣れるまでは違和感があったり、話しにくかったりすることがあります。また、人工歯と歯茎の間に食べかすが入りやすく、食事や話している時に外れることもあります。部分入れ歯の金具が審美的でなかったり、天然歯に比べて噛む効率がかなり落ちたり、金具がかかる歯に力がかかって傷みやすかったりするのもデメリットです。合わない入れ歯を使っていると骨も痩せてしまいます。

それでも、治療費をそれほどかけたくなかったり、外科手術に抵抗があったりする人にとっては、入れ歯は有効な治療法のひとつに挙げられます。口元のハリがなく、老けて見える人やタバコをよく吸う人、短期間で処置したい人などにもお勧めしています。

逆に、入れ歯がどうしても合わなかったり、取り外し式に抵抗があったり、より自然な見た目を求めたりする人にはインプラントが合っています。喫煙もせず、あごの骨がしっかり残っていて、本物の歯に近いかみ応えを求めるような人にも適した治療法でしょう。お口の中の状態、全身の健康状態、求める仕上がりは患者さんそれぞれで異なります。何が自分に合う治療法なのかは、かかりつけの歯科医師とよく相談して決めていきましょう。

小林 保行 歯科医師/キーデンタルクリニック院長

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こばやし やすゆき / Yasuyuki Kobayashi

2004年東京歯科大学歯学部卒業、表参道の総合歯科医院に勤務。2006年市谷の歯科医院にて副院長として勤務。2008年に赤坂見附駅から徒歩1分の場所にキーデンタルクリニックを開院しました。開院以来、「確かな技術で納得の治療を」モットーに、あごや歯の場所を細かく分析をし、歯だけでなく口回りを総合的に診断。現在はムシバラボというサイトを立ち上げ、歯や口周りの情報を発信。主な資格はDHA岩田セミナー認定医、総合治療セミナー「一の会」認定医、クリアアライナー矯正認定医、日本顎咬合学会所属、日本インプラント学会所属、消防庁認定、救命技能講師修了。

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