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ドル円は年度末95円から来年度90円に進む 「緩和=通貨安」の鮮度失い、来年も円高警戒

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  • 内田 稔 三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト
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このため、時間の経過とともに、景気拡大ペースが鈍り、さらに経済指標が悪化する可能性がある。加えて、仮にトランプ政権が誕生した場合、政策の不連続性が警戒され、12月も利上げどころではなくなる懸念もある。

ここまでの経済指標に照らせば、9月の利上げの可能性はかなり低いが、9月利上げの可能性も完全には排除できないままFOMCを迎えるだろう。もちろん、9月利上げはほとんど見込まれていないため、仮に9月に実施されれば、米国の株式相場などが値崩れを起こしてしまい、円高圧力が高まろう。

いずれにせよ利上げは困難か、あってもあと一回で、来年にかけて打ち止めとなる可能性が高い。もちろん、緩和的な金融政策が続き、ドル高が一服すれば、潜在成長率2%に対し来年は1%~1%半ばと低成長とはなろうが、米国の景気後退入りは回避できそうだ。

年末から年度末は95円前後、来年度は90円に

こうしてみると、FRBによる年内一回あるかどうか程度の利上げや日銀のマイナス金利の深掘りがあっても、ドル安円高基調は変わらないだろう。いずれドル円は100円を割り、今年末~年度末にかけて、95円程度に達すると予想している。

とは言え、今年の年初来8カ月で20円も円高が進んだのは、2014年半ば以降にみられた急激な円安への反動と考えられる。今後も円高が進むが、ペースはかなり緩やかなものとなろう。

OECDが試算する相対的購買力平価は、1ドル=約106円、IMFによる試算で103円だが、為替はいったん、トレンドを帯びて動くと、2~3年は続き、適正水準を超えていく。このため、2017年はもう一段のドル安円高が進み、1ドル=90円前後の水準に絡んでいくとみている。もっとも、米国が景気後退には陥らず、日本もデフレ経済への逆戻りは回避できるとみている。このため、1ドル=90円から多少のオーバーシュートがあったところが今回の円高局面のボトムではないかと予想している。

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