築地移転、延期騒動の陰に隠れた本当の問題 相次ぐ水産業者の廃業、補償にも課題あり

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打撃が大きいのは、水産卸と冷蔵倉庫を両軸とするホウスイだ。中央魚類の子会社でもある同社は、豊洲新市場に2.3万トン規模の大型冷蔵庫を新設済みで、9月末には本社新社屋への引っ越しも行う予定だった。「本社には什器など施設・設備も配置済み。新設冷蔵庫もマイナス60度まで冷やす超低温冷蔵で“冷やし込み”という作業を始めていた」と嘆く。

これで延期となれば、11月以降も築地の既存冷蔵倉庫(4000トン)を稼働させなければならず、「概算で年間2億円ほどのランニングコストがかかる」という。

移転は来年2月か5月か

一方で東都水産は、ホウスイのような巨額の設備投資をしておらず、現段階では延期によって、新たな損失が発生することは見込んでいない。2017年3月期の業績予想ではむしろ、豊洲への移転費用を織り込んで減益を想定。それが今回の移転延期で、見込んでいた移転費用の計上は、ひとまず先送りになる。

同業他社も状況は似通っており、「予定していた施設のリースや人員手配の再調整を進めている」(大都魚類)ものの、大手に関しては足元の業績への打撃は大きなものにはならなそうだ。

とはいえ、豊洲新市場の開場時期がいつまでも決まらなければ、中長期の計画を立てるうえで支障が生じてくる。築地市場関係者の間では、「2月」、あるいは「5月」開場説が、まことしやかにささやかれている。

小池知事は延期決定の記者会見の場で「来年1月に発表される地下水モニタリングの結果を確認し、豊洲新市場の施設や事業の継続性などを検討する、市場問題プロジェクトチームの結果が出た後に決める」と発言。ただ、具体的な開場時期については、明言を避け続けた。

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