東電社長、「黒字化へあらゆる手段」 年1000億円削減上積みの事業方針発表

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カンパニー制導入でコスト削減に即効性

東電は4月から将来の持ち株会社制を視野に入れた社内カンパニー制を導入したが、全社に管理会計を導入し、月次管理を徹底するという。「小さい組織単位での資金の出入りを各自が認識できるようになり、コスト削減で即効性が見込める」(広瀬社長、写真)。

社内カンパニー制導入により、①フュエル&パワー・カンパニー(火力発電、燃料調達部門)、②パワーグリッド・カンパニー(送配電部門)、③カスタマーサービス・カンパニー(電力小売り部門)の3つのカンパニーを設置し、それぞれに社長を選任した。

燃料費削減に関連しては、燃料費の安価な石炭火力および高効率なLNG火力の試運転開始時期を前倒しする。広野6号と常陸那珂2号の石炭火力は13年度に運転開始、千葉3号と鹿島火力7号のLNG火力は14年度に運転開始する。

17年以降に北米シェールガス調達の公算も

また、北米シェールガスを液化した軽質LNGを年間200万トン(LNG調達量全体の約1割)導入することを13年度中に決定する。うち80万トンは米国産LNGで三井物産、三菱商事から調達。残りの120万トンは「おおむね基本合意書を取り交わしているが、調達先は守秘義務協定で言えない」(広瀬社長)。

実際にシェールガスを調達するのは2017年以降となる。将来的には年間1000万トンの導入が目標。軽質LNG導入に必要となるLNGタンクについても、富津火力発電所内に2基増設すべく着手する。

一方、電力小売り事業においては、自由化による競争の下で、10年後には新たな電力需要を年間2000億円獲得するとともに、ソリューションビジネスや新サービスなどで年間1000億円の収益拡大を目指す。スマートメーターや電気ヒートポンプなどの効率的な機器の導入・販売や関連工事の施工などで増収を図っていく方針だ。
 

中村 稔 東洋経済 編集委員
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