スバル「新型インプレッサ」が担う重大使命 歩行者保護エアバッグで"安全"にも価値あり

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それは、自動車業界の激変渦中にある富士重が、将来的な生き残りを賭けて導き出した”解”である。

その激変とは世界的に年々厳しくなる環境規制だ。全自動車メーカーにとって規制への対応は喫緊の課題であり、富士重も2018年にプラグインハイブリッド車を、2021年には電気自動車を市場投入すると発表している。

だが従来のスバル車は、「ほかにはポルシェしか手掛けていない水平対向エンジン」を積み、その走りの愉しさにより国内では特に「スバリスト」と呼ばれる熱狂的なファンの支持を得てきた。しかし、今後、環境規制により業界内で電気自動車(EV)化が進めば、水平対向エンジンというスバル車を特徴づける強みが失われていくという危機感がある。

「安全安心」をブランドイメージとして打ち出す

そうした状況下でどのようにしてブランドポジションを築いていくのか。その答えの一つが安全というブランドイメージを磨くことだった。吉永泰之社長は「水平対向のスバルのEVは無理でも、安全安心なスバルのEVは実現可能」と力を込める。

既に国内では「ぶつからない車」をうたい文句にしたアイサイトで、スバリスト以外にも客層を広げてきたという成功体験がある。今回の新型インプレッサでさらにもう一段階、安全安心路線に磨きをかけられるか。間近に迫った新時代を生き抜くための試金石として、新型インプレッサの成否に注目が集まる。

宮本 夏実 東洋経済 記者

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みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

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