では、一流の人に学ぶ「持ち物の秘訣」は何なのか。以下、ポイントを1つに絞って紹介したい。
【1】まわりに流されず、「自分にとって価値あるもの」を使い倒す
一流の人ほど「個人の哲学」「自分なりの信念」にしたがって、「自分にとって価値あるもの」とそうでないものを厳しく見極めている。携帯やペンひとつとっても、それは同じだ。
先ほども紹介した伝説の投資王、ウォーレン・バフェットは、まわりが買おうが売ろうが関係なく、自分自身で「価値がある」と信じられる銘柄にだけ投資して成功してきた。これは何も、株式投資のみならず、日々のあらゆるショッピングに共通するウィズダムである。
私は『最強の働き方』の「おわりに」のあいさつで、フィアンセとの結婚宣言をした。全国1000万人の女性ファンから、「どーでも、ええわーー!!」という叫び声が聞こえてきそうだが、いま私が直面しているのは「どんな婚約指輪を買うか」という問題だ。
ダイヤは「カラー」「クラリティ(透明さ)」「カラット」などいくつかの「C」のグレードで大きく値段が変わる。しかし、「カラー」ひとつとっても、素人目にその差はほぼまったくわからない。私が売り場で聞いた店員さんでさえひと目ではわからず、望遠鏡みたいな巨大なレンズを持ち出してきて、「これはFです」などとやっていたほどだ。
もちろん「それでもダイヤモンドの指輪がほしい」という人もいるだろうが、私には、素人目には人工ダイヤとの見分けがますますつきにくくなっている化学化合物の塊に何百万円も出すよりも、はっきり言って質の高いサファイヤのほうが綺麗だと思うし、下手したらうちのおかんが持っている、紫水晶のあんまり高くない指輪のほうがよほど立派に見える。
ここで私が言いたいのは、「他人が『価値がある』と思うものに安易に流されず、自分の絶対的価値観の軸に沿って『必要がない』と思うものには、ビタ一文払わない」という不屈の決意である。
「下町のウォーレン・バフェット」を目指せ!
さあ、私たちも「下町のウォーレン・バフェット」を目指して、まわりがなんと言おうと、「個人の哲学」「自分なりの信念」という「自分なりのモノサシ」にしたがって、「自分にとって価値あるお買い得品」を、個人の愛用品として棺桶に一緒に入れられるまで使い倒そうではないか。
投資も買い物も人生も、他人のマネをすることではなく、自分の軸で判断することがくれぐれも重要である。
腕時計もアクセサリーも自動車も、所詮、たかが「持ち物」である。しかし、その「持ち物」選びひとつに、ビジネスパーソンとしての長所も短所も如実にあらわれてしまうことを忘れてはいけない。
「自分の価値観に合わない持ち物は、たとえおカネがあって、自分以外の全員が買っていても、断固買わない」という決意そのものに、あなたの「哲学」「信念」「主体性」の有無があらわれる。
そして「どんな持ち物を職場に持ってくるか、身につけてくるか」で、あなたの「周囲への配慮」や「まともな金銭感覚」の有無がもろにバレてしまうことを、いつも肝に銘じてほしい。
(イラスト:岸 潤一)
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