南鳥島レアアース開発は30年かけても難しい 「夢の海底資源」報道に覚える違和感

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なぜ市況は高騰から一転、暴落したのか

いったんは国際相場の上昇で、アメリカのモリコープのマウンテンパス鉱山やライナスのマウントウェルド鉱山が稼働し始めたが、中国の行き過ぎた価格操作の影響が裏目に出て密輸が横行し、とうとうレアアース市場の需給が完全に崩れて、市場の秩序そのものを崩壊させてしまった。

結局、利益を手にしたのは投機筋(スペキュレーター)だけだった。中国では真面目にやってきたレアアース鉱山や精錬工場も、一時的な浮利を手にしたが結局は大損したのだ。もちろん、日本の輸入業者や問屋や需要家も安定供給不安のために厚めに在庫を持ったことが裏目に出た。中国政府の判断ミスの罪は重いといわざるを得ない。過去の例をみても、金属市場に政府が介在して価格操作をしてうまく市場が機能したことは一度もない。まさに、欲の皮の突っ張った人間の「業の世界」といわざるを得ない。

2010年の尖閣事件以降のレアアースの国際市況は、暴騰に次ぐ暴騰を経験し、レアアースがなければ日本の経済が立ち行かないかのような雰囲気の狂乱状態となった。市場が異常な反応をする中で、メディアに報告する機会があったが私は一貫して、レアアース現場の状況を分析した。

中国の現場ばかりではなく、国際会議にも積極的に参加して、全世界の需給をチェックするとともに投機筋の動向に注目して判断したのだ。2012年の6月にはレアアースの国際市況が通常時の15倍以上にまで暴騰した時に、インタビューに答えたことも多い。日刊産業新聞(2011年7月号)には、「レアアースの宴は終わった」という記事が掲載された。当時は得意先から「いい加減なことを言うな」とお叱りの電話を頂戴したが、すでにピークをつける予兆があったので率直に「もうそろそろ手仕舞いしても良い頃です」と報告した。

当社も、お客様から依頼された大量の在庫をこの日を契機に処分していった。結果的に、この判断は当たり、当社ではレアアースに関する評価損は一切出さずに済んだ。お客様にも同様の意見を一貫して報告したので喜んでもらえた。

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