労働者派遣法改正について教えてください プロに聞く!人事労務Q&A

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

■行政による派遣先等の違法行為への強化

行政は、派遣先等または派遣労働者からの求めに応じて、違法行為に該当するか必要な助言ができます。

また、派遣労働者が労働契約の申し込みを承諾した場合に、派遣先等が就労を認めない場合には、必要な助言、指導または勧告をすることができます。その勧告に従わない場合は、派遣先等の公表ができます。

行政による違法行為への強化により、派遣先等に違法行為の認識がない場合でも、その助言等の段階で違法行為と判断されると「労働契約申込みみなし」となります。

経過措置期間中に法令順守体制を

■違法派遣に対する対処

ご質問の「問題が生じた場合は、派遣社員を正社員にするのではなく、派遣社員に一定の金額(慰謝料のようなもの)を支払う」行為は、現在の法律では認めていません。

また、労働法学者で東大名誉教授の菅野和夫氏は『労働法第十版』で「直接雇用のみなし申込みに対し承諾の意思表示をした派遣労働者は、労働者派遣の役務の提供を受ける者に対して、労働契約上の地位の確認の訴えが可能である」と述べています。

今回の改正で経過措置が取られたのは、違法派遣のペナルティとして派遣先等への直接雇用みなし制度をこの3年間でしっかり対処する必要があるからです。

この経過措置中に、違法派遣をめぐるトラブルを回避するために、派遣労働者が従事する業務の範囲等を派遣元事業主および指揮命令者に内容を正確に伝え、派遣期間、派遣業務の範囲等の労働者派遣法で定める事項を順守する体制を構築してください。 

(撮影:梅谷秀司) 
 

白石 多賀子

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

白石多賀子(しらいし・たかこ)
東京都社会保険労務士会所属。1985年に雇用システム研究所を設立。企業の労務管理、人事制度設計のコンサルティングを行う一方で、社員・パートの雇用管理に関する講演も行っている。東京地方労働審議会臨時委員、仕事と生活の調和推進会議委員。著書に『パート・高齢者・非正社員の処遇のしくみ』(共著)。
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事