マルちゃん正麺が大逆転できた「3つの改革」 衰退市場で起きた”革命”とは

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理由1
小腹満たしの概念を180度変える

東洋水産は、カップ麺では「赤いきつね」「緑のたぬき」や「麺づくり」といった看板商品を擁している。だが、袋麺には「昔ながらの中華そば」以外に有力なブランドがなく、袋麺市場ではサンヨー食品の「サッポロ一番」、日清食品の「チキンラーメン」に後れを取る状況が続いていた。

「袋麺の分野でやれることがまだあるのでは」。2006年ごろから新しい袋麺の開発に着手した。これまで小腹満たしのスナックというイメージが強かった袋麺。「夕食としても食べられる商品を作れば、食事シーンの拡大につながる」(即席麺本部・営業部マーケティング課の堀和憲氏)。袋麺は麺とスープの味以外での差別化が難しいため、麺の改良に徹底的にこだわった。

「生麺うまいまま製法」に徹底的にこだわった

これまでの袋麺は、麺を油で揚げるフライ麺が主流。フカフカした独特の食感になる。東洋水産ではより生麺の食感に近づけるため、切り出した生の麺をそのまま乾燥させる「生麺うまいまま製法」を考案。製造現場と議論を繰り返し、大量生産できる方法を探ってきた。

「(この製法での大量生産は)難しいという声は社内にもたくさんあった」と堀氏は振り返る。ただ、袋麺市場で3位にとどまっていたがゆえに、大幅な顧客離れや自社商品との食い合いを招く懸念が少なく、「新しい技術にチャレンジする余地が、それなりにあった」のだという。

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