週明けの日本株は意外な上昇になる可能性 「イエレン講演」で現実味帯びる「12月利上げ」

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だが、そうなったとしても、昨年12月に利上げを実施した際の割合である70%レベル(利上げ予想の割合)には程遠い水準だ。利上げを実施したのはこの昨年12月だけなので、70%レベルを利上げのベンチマークとして設定していいかは微妙だが、それだけ市場が織り込まないと利上げを実施するのは難しいと考える。

FRB幹部の方向性、経済指標の堅調な推移、そして、FF金利先物の水準(70%レベル)。これら3要素がそろって初めて利上げは実施できよう。11月の大統領選挙が依然不安要素だが、現時点では、9月よりは12月の利上げ実施の可能性のほうが高いと考える。

日経平均は1万7000円に近づくか

さて、週明け以降の日本株はどういった動きを見せるだろうか?ドル円が101円台後半まで円安ドル高で推移していることから、まずは大型株を中心に買い優勢の展開となろう。日経平均は26日の下げ分(195.24円安)を取り戻しそうだが、日銀によるETF買入れ効果に対する戸惑いが上値をおさえそうだ。

26日は引けで日経平均採用銘柄の入れ替えに絡んだリバランスが発生したこともあったが、2日連続で日銀がETF買い入れを実施したにもかかわらず、日経平均がマイナスで終えたことが市場ではネガティブ視されている。

一方で、日銀のETF買い入れに対する過剰な期待感が剥落したことから、NT倍率は拡大基調が一服している。米利上げを期待するドル高円安にスポットライトが当たるようなら、これまで低迷していた出来高が増加する可能性もある。29日以降は、ETF買い入れを材料視した展開から、ドル高円安を材料視した物色を想定。上値は重いながらも、日経平均は1万7000円に接近する場面が見られるかもしれない。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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