とはいえ、日本の学校も荒れていた。最近も、大津・皇子山中学いじめ自殺事件、大阪・桜宮高校バスケット部体罰自殺事件と、いじめが大きな社会問題になっているが、こうしたことはすでに1980年代から起こっていたのである。
その意味で、日本の学校現場は今も何も変わっていない。
当時、いじめ自殺として最も衝撃的だったのは、東京・中野の富士見中学2年生の鹿川裕史君が首吊り自殺した事件だった。この事件は、遺書が残されており、そこから、クラスで「葬式ごっこ」が行われていたことがわかって、世間は騒然となった。
そんなこともあって、インターの日本人の親御さんの中には、「日本の学校に行ったらまともな人間にならない。いじめで殺されたらどうするんですか?」と、子供をインターに入れたという人もいた。
スーパー女子高生、高梨沙羅もインター
日本人なのにインターで教育を受けるということは、その時点で日本での大学進学をあきらめなければならない。インターは文科省の認可校ではないので、ハイスクールを卒業しても日本の高校卒業資格は得られない。
近年、こうした矛盾はだいぶ解消され、インター卒の生徒を受け入れる大学も増えたが、当時は、「大検」(大学入学資格検定:現在は「高等学校卒業程度認定試験」)に合格しなければ日本の大学(上智大国際教養、ICUは例外)には進学できなかった。
今年の冬、日本中を沸かせたスーパー女子高生、ノルディックスキー・ジャンプ女子の世界チャンピオン高梨沙羅選手は、グレース・マウンテン・インターナショナルスクール(北海道・旭川)に通っているインターの生徒だ。このインターは2004年にできた新設校である。
普通、高梨選手のような有力選手となると、スキー部のある強豪校に進学するが、高梨選手は「自分に足りないのは英語力だと思った」とインターを選択している。
しかも、高梨選手は昨年の夏に「高卒認定試験」を受け、今年になって合格が判明している。インターの生徒でハイスクールの1年生で合格する例はまれだから、高梨選手は本当にスーパー女子高生だ。
私の娘の場合、キンダー(幼稚園)からエレメンタリー(小学校)に進学した時点で、将来はアメリカの大学に行かそうと決めていた。
ジェフリー・ミラー学長補佐もこう言った。
「本校は、アメリカのWASC(※)の認定校ですので、将来的にアメリカの大学への進学を前提とした教育をしています。まだ小学校に入学したばかりといっても、そうしたスタンスをしっかり持ってもらわないと、勉強にはついていけません」
※ WASC :Western Association of Schools and Colleges:米国西部地域私立学校大学協会(http://www.acswasc.org/)
米国では6地区に分かれた米国教育省認定の学校認定機関があり、WASCはカリフォルニアを含む太平洋エリア、東アジア地区を担当。WASC認定校で12年の課程を修了した18歳以上の者には、大学入学資格(高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者)が認められる。
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