韓国大慌て、「金メダル数で日本に抜かれた!」 日本への「強烈な対抗心」はいつまで続くのか

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朴槿恵政権は「スポーツビジョン2018」を掲げ、エリート体育に集中していた方針を転換した。手に届くスポーツ作り、スポーツ育成・土台作り、経済を活性化するスポーツ産業の育成など、これらの政策を可能にするためにスポーツ行政の基盤改善を骨子としたのである。「今回のオリンピックは体育界のパラダイムを変えたとまで言われていて、さらに見直しが求められるでしょう」(韓国全国紙記者)ともいわれる。

「昔は金メダルを獲らないと、どうして獲れなかったと責め立てる報道が出たものですが、今や一等神話は薄れつつあるようで、選手たちの健闘をたたえる人のほうが多かったように思います。韓国も変わりました」と50代の会社員がしみじみと言う。バドミントンの朴監督についても、ネット上では「朴監督は親日派か」と揶揄する声や「これほどの指導者をどうして韓国にとどめておけなかったのか」いう声もあったが、「韓国人指導者が他国に金メダルをもたらした」と賞賛する声が多かったのも、そうした変化の表れだろう。

選手自身のメンタリティにも、以前との違いがうかがわれる。フェンシングで予想もしていなかった朴サンヨン選手が金メダルを獲った後、記者とのこんなやりとりが話題になった。

韓国でも引退後の生活はラクではない

記者:「どんな戦略で臨んだのでしょう?」

朴選手:「戦略はなかったです。オリンピックは祭典ですから。ただ、楽しみました」(ハンギョレ新聞8月23日から)

ほかにもテコンドーでベスト8に破れた李デフン選手が「メダルはいつか忘れられます。人生の経験とします」と発言し、「何がなんでも国に金メダルを」式の発言はあまり見られない。「韓国ではメダルを獲ってもその後の生活が保障されるわけではなく、特に人気のない種目はなおさらで、エリートとしてスポーツ教育を受けても引退後の生活に苦しむ人が多い。だからか、メダルにこだわる姿勢が薄れているようだ」(前出、記者)。

次はいよいよ2020年の東京オリンピック。その時、韓国のスポーツ界はどんなふうに変わっているのか。いやその前に、リオの成功を受けて2018年に開催する、平昌(ピョンチャン)での冬季オリンピックを控えていることを忘れてはいけない。韓国は早くも緊張感に包まれている。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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