“WBC最強打線” ドミニカ強さの秘密 現地取材で探る、メジャーリーガー輩出工場の全貌
愛する妻と娘のために白球を追いかけるチャーリーの好きな選手は、カルロス・サンタナ。強打を誇る捕手としてMLBでもその名を轟かせ、今回のWBCでは強肩と好リードで投手陣を引っ張っている。
チャーリーはこんな話もしていた。
「野球選手にとって大事なのは、常に自分を信じることだ。自分を信じることができなければ、誰を信じるんだ? 失敗しても、そんなことは忘れてすぐに次のステップにいけばいい。考えなければいいだけだ。簡単だろ(笑)?」
おそらく、今回のWBCでプレーするドミニカ代表選手たちもこんな精神でプレーしているのだろう。カノが打点を挙げた後に浮かべる天真爛漫な笑み、タイムリーヒットを打ったレイエスの咆哮、守護神として試合を締めくくったフェルナンド・ロドニーが見せる弓矢を思い切り引いたようなポーズから、「野球は笑いながら、感情を表して楽しむものだ」というメッセージを感じ取れる。
あなたにとって、野球とは何ですか?
今回、ドミニカで10日間をすごした筆者は取材した19人の野球関係者に、こうたずねた。あなたにとって、野球とは何ですか?
最も多かった回答は「人生」で14人。「すべて」「情熱」「人生で最良のもの」「とても価値のあるもの」という答えも、意味合いとしては極めて「人生」に近い。前述のクルス記者は、「ドミニカ人にとって、野球は人と一緒に生活していくための手段」と表現していた。漫画『キャプテン翼』の大空翼にとってのサッカーボールと同じように、野球は友だちなのだろう。
今回のWBCに出場した16カ国で最もGDPの低いドミニカがなぜ、優秀な野球選手を輩出し続けるのか。筆者はその理由を探りに当地へ渡ったが、彼らの回答に、答えが潜んでいるような気がした。
(撮影:龍フェルケル)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら