“WBC最強打線” ドミニカ強さの秘密 現地取材で探る、メジャーリーガー輩出工場の全貌

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愛する妻と娘のために白球を追いかけるチャーリーの好きな選手は、カルロス・サンタナ。強打を誇る捕手としてMLBでもその名を轟かせ、今回のWBCでは強肩と好リードで投手陣を引っ張っている。

チャーリーはこんな話もしていた。

「野球選手にとって大事なのは、常に自分を信じることだ。自分を信じることができなければ、誰を信じるんだ? 失敗しても、そんなことは忘れてすぐに次のステップにいけばいい。考えなければいいだけだ。簡単だろ(笑)?」

おそらく、今回のWBCでプレーするドミニカ代表選手たちもこんな精神でプレーしているのだろう。カノが打点を挙げた後に浮かべる天真爛漫な笑み、タイムリーヒットを打ったレイエスの咆哮、守護神として試合を締めくくったフェルナンド・ロドニーが見せる弓矢を思い切り引いたようなポーズから、「野球は笑いながら、感情を表して楽しむものだ」というメッセージを感じ取れる。

総工費7億2000万円で08年に完成したパドレスのアカデミー。選手たちは練習中も笑顔を絶やさない(撮影:龍フェルケル

あなたにとって、野球とは何ですか?

今回、ドミニカで10日間をすごした筆者は取材した19人の野球関係者に、こうたずねた。あなたにとって、野球とは何ですか?

最も多かった回答は「人生」で14人。「すべて」「情熱」「人生で最良のもの」「とても価値のあるもの」という答えも、意味合いとしては極めて「人生」に近い。前述のクルス記者は、「ドミニカ人にとって、野球は人と一緒に生活していくための手段」と表現していた。漫画『キャプテン翼』の大空翼にとってのサッカーボールと同じように、野球は友だちなのだろう。

今回のWBCに出場した16カ国で最もGDPの低いドミニカがなぜ、優秀な野球選手を輩出し続けるのか。筆者はその理由を探りに当地へ渡ったが、彼らの回答に、答えが潜んでいるような気がした。

(撮影:龍フェルケル

中島 大輔 スポーツライター

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なかじま だいすけ / Daisuke Nakajima

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。2005年夏、セルティックに移籍した中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた「野球消滅」。「中南米野球はなぜ強いのか」(亜紀書房)で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。NewsPicksのスポーツ記事を担当。文春野球で西武の監督代行を務める。

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